出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
明治期の文学改良家,小説家,詩人。東京生れ。本名武太郎。別号は樵耕蛙船(しようこうあせん),飛影,美妙斎など。1885年大学予備門在学中に尾崎紅葉,石橋思案,丸岡九華らと硯友社を結成,機関誌《我楽多(がらくた)文庫》に馬琴調の文体でアルフレッド大王伝を《竪琴草紙》としてつづった。しかし坪内逍遥の《小説神髄》の影響を受けるや,ただちに文学改良主義者に変身,言文一致論や韻律論(《日本韻文論》)を展開し,文学改良に情熱的に取り組んだ。小説,新体詩,文学理論などさまざまな分野に活躍したが,とくに口語体小説《武蔵野》(1887)や《蝴蝶》(1889)の成功は彼を一挙に流行作家に押し上げた。そのほか《以良都女(いらつめ)》や《都の花》の主幹をつとめるかたわら,演劇や辞書編集にも改良の腕を振るったが,才能が拡散,性格や私行に批判も集中し,文壇から遠ざかった。97年以降は《大辞典》(没後,1912刊)編集に専念したが,多くの社会小説,歴史小説も執筆した。
執筆者:山田 有策
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
明治期の小説家,詩人,国語学者
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
小説家、詩人、評論家。本名武太郎。東京生まれ。大学予備門中退。1885年(明治18)尾崎紅葉(こうよう)とともに硯友社(けんゆうしゃ)を結成し、『我楽多(がらくた)文庫』に小説を書き始めた。坪内逍遙(しょうよう)に影響され、あらゆるジャンルに文学改良を試みた。とくに言文一致の理論と実践や『日本韻文論』(1890~91)などの詩論に鋭い才能を示した。『以良都女(いらつめ)』や『都の花』などの編集にも力量を示したが、あまりに多方面に活躍しすぎたため、才能を放散する結果となり、小説家として成熟することなく終わった。晩年に至るまで執筆は続けたが、初期の『武蔵野(むさしの)』(1887)と『蝴蝶(こちょう)』(1889)以外みるべき作品は少ない。ほかに一貫してことばに関心を抱き、各種の辞書を編纂(へんさん)している。
[山田有策]
『塩田良平著『山田美妙研究』(1938・人文書院)』▽『『明治文学全集23 山田美妙・石橋忍月・高瀬文淵集』(1971・筑摩書房)』
(佐伯順子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
1868.7.8~1910.10.24
明治期の小説家・詩人・評論家。東京都出身。本名武太郎。大学予備門在学中に尾崎紅葉・丸岡九華(きゅうか)らと硯友社を設立。1886年(明治19)「嘲戒小説天狗」で言文一致小説を試みるかたわら,九華との共著「新体詞選」を刊行するなど,新体詩創作にも力をいれた。87年新歴史小説「武蔵野」が好評を博す。詩論「日本韻文論」は詩の新律格の理論的追求の書として貴重。アクセントに着目した「日本大辞書」を編纂した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…明治中期の文学結社。1885年(明治18)2月,東京大学予備門在学中の尾崎紅葉,山田美妙(びみよう),石橋思案(1867‐1927)らが高等商業生徒の丸岡九華(きゆうか)らをかたらい創立した。同年5月から機関誌《我楽多(がらくた)文庫》を創刊,小説,漢詩,戯文,狂歌,川柳,都々逸(どどいつ)など,さまざまな作品を載せた。…
…山田美妙の短編小説。1889年(明治22)1月《国民之友》掲載。…
…これが近代的体裁をそなえた国語辞書として最初のものである。山田美妙の《日本大辞書》(1892)はアクセントを注記した最初のものであり,この後,落合直文《ことばのいづみ》(1898),金沢庄三郎《辞林》(1907),上田万年・松井簡治《大日本国語辞典》(1915‐28),金沢庄三郎《広辞林》(1925),大槻文彦《大言海》(1932‐37),新村出《辞苑(じえん)》(1935),平凡社編《大辞典》(1934‐36),金田一京助《明解国語辞典》(1943),新村出《言林》(1949),金田一京助《辞海》(1952),新村出《広辞苑》(1955),日本大辞典刊行会編《日本国語大辞典》20巻(1972‐76)など,数多くの辞書があるが,この中で《大日本国語辞典》と《大言海》とは,語釈や古典の用例などが詳密であり,《大辞典》は固有名詞を含むのが特色である。 特殊辞書では,類義語を集めた志田義秀・佐伯常麿《日本類語大辞典》(1909),広田栄太郎・鈴木棠三《類語辞典》(1955),方言では東条操《全国方言辞典》(1951)および《標準語引分類方言辞典》(1954),外来語を集めた上田万年・高楠順次郎・白鳥庫吉・村上直次郎・金沢庄三郎《日本外来語辞典》(1915),荒川惣兵衛《外来語辞典》(1941),アクセントを示した神保格・常深千里《国語発音アクセント辞典》(1932),日本放送協会編《日本語アクセント辞典》(1943),漢字の故事熟語を集めた簡野道明《故事成語大辞典》(1907),池田四郎次郎《故事熟語大辞典》(1913),隠語を集めた楳垣実《隠語辞典》(1956)などがある。…
…山田美妙の詩論。1890年(明治23)10月から翌91年1月まで《国民之友》に計8回掲載。…
※「山田美妙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新