戒告(読み)カイコク

デジタル大辞泉 「戒告」の意味・読み・例文・類語

かい‐こく【戒告/×誡告】

[名](スル)
過失失態非行などを強く戒めること。「厳重に―する」
(戒告)公務員などの職務上の義務違反に対する懲戒処分の一。本人将来を戒める旨の申し渡しをする。もと譴責けんせき」といった。
(戒告)行政上の義務の履行催告する通知行為。代執行前提となるもの。
[類語]戒める訓戒諭旨教戒勧戒

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精選版 日本国語大辞典 「戒告」の意味・読み・例文・類語

かい‐こく【戒告】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 過失、失態、非行等を戒め注意すること。
    1. [初出の実例]「親は其子を養育し〈略〉此世の危険を戒告す可し」(出典:泰西勧善訓蒙(1873)〈箕作麟祥訳〉五)
    2. [その他の文献]〔易経疏‐泰卦〕
  3. 公務員が職務上の義務に違反した場合の懲戒処分の一つ。将来を戒めるように申し渡すこと。
    1. [初出の実例]「減給又は戒告の処分をすることができる」(出典:国家公務員法(1947)八二条)
  4. 行政上の義務を履行しない者に対して、行政機関が代執行をすべきことを通告すること。

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改訂新版 世界大百科事典 「戒告」の意味・わかりやすい解説

戒告 (かいこく)

この言葉自体の意味は,過失や非行を言葉に出して戒めさとすことであるが,企業,学校,公務員制度のなかなど社会で広く用いられている。また,法律上もいろいろの領域で用いられているが,その代表的なものは,(1)行政上の義務の履行を促すために行われる通知行為としての戒告と,(2)公務員制度のなかで懲戒処分の一種として行われる戒告である。前者の典型的なものは行政代執行法に規定されているものである。行政庁が履行義務者本人に代わって代執行を行う際の手続の一つとして,相当な履行期限を示し,その義務が当該期間内に履行されない場合は行政庁が代執行する旨を文書をもってあらかじめ本人に通知しておくのがそれである(3条)。後者は,公務員の職務上の義務違反に対する制裁の一つとして,再度同様の義務違反をおかすことのないよう,将来を戒めるために行われる処分である(国家公務員法82条,地方公務員法29条)。その他,弁護士(弁護士法57条1号),税理士(税理士法44条1号)等に対する懲戒処分の中にも戒告が見られる。
懲戒
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百科事典マイペディア 「戒告」の意味・わかりやすい解説

戒告【かいこく】

(1)行政代執行法により,行政上の一定の義務を履行するように催告の通知をすること。(2)公務員の職務上の義務違反に対して本人を戒める処分で,懲戒処分の一種。かつて法令譴責(けんせき)といわれたもの。弁護士,船舶乗組員など公務員以外でも国の特別の監督下におかれている者には適用される場合がある。→代執行
→関連項目懲罰委員会

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「戒告」の意味・わかりやすい解説

戒告
かいこく

法律上二義がある。

(1)行政代執行法上は、相当の履行期限を定めて、それまで義務履行がないとき代執行をなすべき旨の通知行為をいう。この期限までに義務の履行がない場合に初めて代執行をなすことができるのが原則である。

(2)国家公務員法、地方公務員法上は懲戒処分の一種で、職員の懲戒責任を確認し、その将来を戒める処分をいう。懲戒処分として戒告・減給・停職・免職の4種類があり、戒告はこのうちもっとも軽い処分で、それ自体は単にしかりおくだけであるが、戒告処分を受けると、昇給延伸されるのが普通である。

[阿部泰隆]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「戒告」の意味・わかりやすい解説

戒告
かいこく

(1) 行政上の義務の履行を催告する通知行為。代執行の一段階をなす。代執行に際しては,まず相当の履行期限を定め,その期限までに履行がなされないときは,代執行をなすべき旨をあらかじめ文書で戒告しなければならない (行政代執行法3条1項) 。非常の場合または危険切迫の場合において,当該行為を実施すべき緊急の必要があり,戒告の手続をとる余裕のないときは,これを省略することができる (同条3項) 。 (2) 公務員の懲戒処分の一種で,公務員の職務上の義務違反に対し,本人に将来を戒める旨の申渡しをする処分 (たとえば,国家公務員法 82) 。

(3) 公務員以外の,弁護士,税理士,海技従事者などに対する懲戒処分としての戒告 (たとえば,弁護士法 57) 。

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