署名した条約に対し,国家として拘束されることの最終的な確認行為をいう。憲法上条約締結権を与えられたものが,批准権を有する。批准制度が存在する理由は,第1に通常,条約締結権者たる国家元首がみずから交渉にあたるわけでなく,したがって全権委員が締結権者の意思を体して合意したものであるかどうか確認する機会を持つ必要があること,第2に民主主義国家においては,国民を代表する議会が条約の内容を審査することにより,締結権者の恣意的な行為をコントロールする必要が生じたことである。通信手段等の発達した昨今の状況からみれば,第1の理由はさほど重要でなくなり,むしろ第2の理由のほうが今日では重要な意味を持つといえる。歴史的にみれば,専制君主時代には君主が対外権能を有しており,全権委員はその代理人と考えられ,本人たる君主が批准することは義務的とされていた。しかしその後民主主義国家が出現するに伴い,条約の締結に議会が承認等の形で参与することが一般化したことにより,批准は任意的性格を帯びるようになった。現代国際法上,批准するか否かは国家の自由である。条約のうちでも内容がさほど重要でない議定書,交換公文,暫定協定などについては,通常,批准を必要としない。〈条約法に関するウィーン条約〉は,批准についても規定している(11,12,14条)。
→条約
執筆者:岡村 尭
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条約を作成する最終手続で、国家が、ある条約の当事国となるための最終的意思を示す行為をいう。通常、批准書の交換(二国間条約)、寄託(多数国間条約)として行われる。条約の批准は、君主制時代には、君主の代理人の行為(全権代表の署名行為)を、本人(君主)が自己の行為として確認するもの(代理理論)として説明されてきたが、共和制のアメリカ合衆国憲法成立以降、批准行為は、大統領(行政府)の締結する条約を、議会(上院)が国民の利益のために再検討して承認(否認)する重要な行為となった。日本国憲法は条約締結権を内閣に与えるが、批准のため、事前または事後に国会の承認を必要と定めている(73条3号)。
[經塚作太郎]
全権委員が署名調印した条約を,締結国の元首その他国内法上定められた者が確認する手続き。批准により当該条約に拘束されることへの同意を最終的に示すこととなる。批准は条約発効にあたっては必ずしも必要な手続きではなく,署名のみで効力を生じる簡略形式の条約締結方法もあり,1969年(昭和44)に結ばれた条約法に関するウィーン条約で,批准の必要の有無は条約交渉国の意思にゆだねるとされた。
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