タバコ,塩の専売事業の健全で能率的な実施を目的として,〈日本専売公社法〉(1948公布)に基づき1949年6月に設立された全額政府出資による公法上の法人。正しくは〈にっぽんせんばいこうしゃ〉と読む。日本国有鉄道,日本電信電話公社とともに,三公社の一つであった。83年3月当時,資本金232億5979万円。前身は1897年の葉煙草専売所官制公布により,98年に大蔵省に設置された専売局(大蔵省専売局)で,その資産の一部を継承していた。大蔵大臣が監督し,同公社の業務運営に関する諮問機関として専売事業審議会が大蔵省に置かれていた。業務内容は,タバコと塩の買入れ・製造・販売,その生産者・販売者の指導・助成,同専売品の輸出入等であった。タバコ小売定価の約56%が,専売納付金(国の一般会計の歳入に計上される)およびたばこ消費税(都道府県・市町村に納付される)となった。1982年度のタバコ売上高は2兆4704億円(販売総数量は3167億本),専売納付金は7651億円,たばこ消費税は7656億円。一方,同年度の塩の売上高は948億円で,売上構成はタバコ96%に対して塩4%の割合となっていた。中曾根康弘内閣の行政改革の一環として,タバコ事業の民営化が進められ,84年8月,〈たばこ事業法〉〈日本たばこ産業株式会社法〉〈塩専売法〉〈たばこ消費税法〉など,いわゆる専売改革5法案が公布され,85年4月からタバコ専売制度は廃止され,タバコの輸入・販売が自由化された。同公社は,特殊会社日本たばこ産業株式会社となり,タバコ製造のみを独占する。専売納付金はたばこ消費税(のちたばこ税に改正)に移行し,それまでのたばこ消費税の制度は改正された。塩専売事業もそのまま特殊会社が継承した。特殊会社に対する政府の株式保有義務は1/2以上である。
→タバコ
執筆者:石沢 卓志
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日本専売公社法に基づいて1949年(昭和24)6月に設立された公法上の法人。たばこ、塩など国の専売事業を担ってきたが、1985年3月末でたばこの専売制度が廃止されたのに伴い、同年4月から日本たばこ産業株式会社として新発足した。
[編集部]
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…政府関係の公社には,日本電信電話公社,日本専売公社,日本国有鉄道があり,いずれも100%政府出資の公企業であったが,前2者は1985年,日本国有鉄道は87年にいずれも民営化された(各項参照)。地方公共団体関係の公社には,地方住宅供給公社,地方道路公社などがある。…
…その後,日露戦争の戦費調達のため1904年に専売の範囲を製品の製造販売にまで拡大し1985年3月まで続いた。なお,当時は大蔵省の直営事業であったが,49年6月以降は日本専売公社が生産卸売を担当し,公社以外の者が同種あるいは類似の事業を行うことは禁止されている。塩についても,タバコと同様,1905年に戦費調達を目的として専売制度が導入された。…
…しかし,諸般の事情により所期の収入が得られなかったので,日露戦争の戦費調達のため,政府はタバコの生産,製造,販売におよぶ完全専売制を1904年から実施した。第2次大戦後,事業の企業性を生かすために,タバコ専売は大蔵省専売局から49年6月に日本専売公社に塩およびショウノウの専売事業とともに移管された(ショウノウ専売は1962年に廃止。塩専売は,日本たばこ産業(株)に引き継がれた後,97年4月に廃止)。…
※「日本専売公社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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