東海旅客鉄道(読み)とうかいりょかくてつどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「東海旅客鉄道」の意味・わかりやすい解説

東海旅客鉄道(株)
とうかいりょかくてつどう

日本国有鉄道国鉄)が分割・民営化したことにより、1987年(昭和62)4月に発足した旅客鉄道会社の一つ。略称JR東海。英語名はCentral Japan Railway Company、略称はJR Central。JR本州3社(JR東日本、JR東海、JR西日本)に含まれる。1997年(平成9)に株式上場し、2006年(平成18)に完全民営化した。資本金は1120億円である。本社は名古屋市中村区と東京都港区にある。名古屋・静岡地区の都市圏輸送を中心として、10県(神奈川、静岡、山梨、長野、富山、岐阜、愛知、滋賀三重和歌山)にまたがる在来線東海道新幹線を運行。東海道新幹線(東京―新大阪間)は、1964年に開通した日本で最初の新幹線である。2003年品川駅を開業したことで東海道新幹線の運行本数は飛躍的に増大し、JR東海のドル箱として鉄道部門の収益の約85%を占めている。在来線は中京圏を中心に運行している地元私鉄との競争が激しく、収益は約10%であるが、不動産事業や流通事業等、多角化で業績を伸ばし、全体として毎年連続で最高益を更新している。

 東海道新幹線と平行する中央新幹線(リニア中央新幹線)品川―名古屋間の建設が2014年10月に国土交通大臣から認可され、JR東海は自社で工事を開始した。超伝導リニア方式による中央新幹線で、ほとんどが地下トンネル内の走行である。東京都を起点に、日本列島の中央部である南アルプスの甲府市付近、名古屋市付近、奈良市付近をおもな経過地として、終点の新大阪駅までを時速約500キロメートル、約1時間で結ぶ。まずは2027年の品川―名古屋間(路線距離約286キロメートル、所要時間約40分)の開業を目ざしている。全体の建設コストは約7兆7000億から9兆2000億円といわれ、全額JR東海の自己資金である。ただこのリニア中央新幹線は、圧倒的部分が地下トンネル走行(品川―名古屋間の約86%にあたる246キロメートル。うち、地下40メートル以深の大深度地下を使用する区間は約50キロメートル)で、地上走行区間も土管のようなコンクリート製の防音フードで覆うところから「土管列車」ともよばれ、安全性について不安を与えている。また南アルプスの環境破壊等、多くの問題点が指摘されている。

[土居靖範 2018年7月20日]

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百科事典マイペディア 「東海旅客鉄道」の意味・わかりやすい解説

東海旅客鉄道[株]【とうかいりょかくてつどう】

日本国有鉄道の分割・民営化により1987年設立。通称JR東海。関東,東海,近畿地方などの11都府県に,東海道新幹線東海道本線中央本線紀勢本線など12路線を営業,延長1977.8km。新幹線が収入の80%以上を占める。1999年12月完成のセントラルタワーズも運営。2003年品川新駅開業。本社名古屋。2011年資本金1120億円,2011年3月期売上高1兆5030億円。売上構成(%)は,運輸業77,流通業12,不動産業3,その他8。→JR

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「東海旅客鉄道」の解説

東海旅客鉄道

正式社名「東海旅客鉄道株式会社」。通称「JR東海」。英文社名「Central Japan Railway Company」。陸運業。昭和62年(1987)「日本国有鉄道」から鉄道事業を引き継ぎ設立。本社は名古屋市中村区名駅。鉄道会社。東海道新幹線と在来線12路線を持つ。新幹線が収益の主柱。流通・不動産・ホテル業なども手がける。東京証券取引所第1部・名古屋証券取引所第1部上場。証券コード9022。

出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東海旅客鉄道」の意味・わかりやすい解説

東海旅客鉄道
とうかいりょかくてつどう
Central Japan Railway Company

鉄道会社。略称 JR東海。1987年,日本国有鉄道の分割民営化によりほかの JR 6社とともに設立された。東海地方を営業区域とする。東海道新幹線を中軸とした旅客鉄道業のほか,付帯事業として物品販売業,旅行業など,また関連事業として不動産業など多角的な経営を行なっている。

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