刑事訴訟法に基づき、犯罪死の可能性がある変死体の状況を調査し、事件性の有無を判断する。警察官の中でも、警察大学校で法医学を修了した警部以上の階級の検視官が行うのが望ましいとされる。検視後、必要に応じ司法解剖をして詳しく調べる。2005年の全国の検視官は136人、検視官が現場に赴く臨場率は平均11・8%だったが、14年には333人に増え、臨場率も初めて7割を超えた。
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変死者または変死の疑いのある死体があるときに、犯罪の嫌疑の有無を確認するために、検察官が視覚や嗅覚(きゅうかく)など五官の作用をもって、死体の状況を見分する処分のこと。五官の作用をもってする見分に限られるから、鑑定処分として行われる死体解剖とは区別される。検視は、犯罪捜査の端緒の一つとなる。変死者または変死の疑いのある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁または区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。検察官は、検察事務官または司法警察員にこの処分を代行させることができる(刑事訴訟法229条)。これを代行検視という。検視を実施する場合には、医師の立会いを求めてこれを行い、速やかに検察官にその結果を報告するとともに、検視調書を作成して、撮影した写真等とともに送付しなければならない(検視規則5条)。検視を経ないで変死者を葬ると変死者密葬罪に問われる(刑法192条)。検視にあたっては、(1)変死体の氏名、年齢、住居および性別、(2)変死体の位置、姿勢ならびに創傷その他の変異および特徴、(3)着衣、携帯品および遺留品、(4)周囲の地形および事物の状況、(5)死亡の推定年月日時および場所、(6)死因(とくに犯罪行為に起因するか否か)、(7)凶器その他犯罪行為に供した疑いのある物件、(8)自殺の疑いがある死体については、自殺の原因および方法、教唆者、幇助(ほうじょ)者等の有無、ならびに遺書があるときはその真偽、(9)中毒死の疑いがあるときは、症状、毒物の種類および中毒するに至った経緯を調査しなければならない(検視規則6条1項)。以上の司法検視に対して、死亡が犯罪に起因するものでないことが明らかである死体を検分する場合は、行政検視とよばれ、この場合は死体取扱規則による。なお、臓器移植との関係では、医師が死体から臓器を摘出しようとする場合において、当該死体について検視が行われるときは、その手続が終了した後でなければ臓器の摘出はできないこととなっている(臓器の移植に関する法律7条)。
[内田一郎・田口守一]
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…いわゆる法定伝染病などによる死亡は,異常死体には含まれないが,公衆衛生上の見地から,診断や検案の時点で,医師に保健所への届出の義務を課している。異常死体に対しては,届出にもとづき警察の調査(検視)が行われる。この際,原則として医師が立ち会い,死体外表の検査(検死)を行う。…
…監察医は検死によって死因を明らかにしえない場合には解剖(行政解剖)することができるが,その他の地域ではほとんど解剖されないので,かなりの誤診があるものと推定されている。なお,刑事訴訟法229条には〈変死者又は変死の疑のある死体があるときは,その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は,検視しなければならない〉と規定されている。変死(体)とは犯罪に関係する死体か否かが明らかでない死体という意味であり,鑑定のための解剖(司法解剖。…
※「検視」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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