権限(読み)ケンゲン

デジタル大辞泉 「権限」の意味・読み・例文・類語

けん‐げん【権限】

国家公共団体が、法令の規定に基づいて職権を行うことのできる範囲
代理人法人機関が、法律または契約に基づいてなしうる権能の範囲。
個人がその立場でもつ権利権力の範囲。「君にはその権限はない」「権限を越える」
[類語]職権権利資格権能権益特権特典

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精選版 日本国語大辞典 「権限」の意味・読み・例文・類語

けん‐げん【権限】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 法人の機関や、代理人などが、法令または契約に基づいて、有効に行なうことのできる行為の範囲。国または地方公共団体の機関については職権、職務などとも呼ばれる。
    1. [初出の実例]「其組織権限に至ては、朕親(みづか)ら衷を裁し、時に及て公布する所あらんとす」(出典:国会開設の勅諭‐明治一四年(1881)一〇月一二日)
  3. その立場のものの権力、権利などの範囲。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「権限」の意味・わかりやすい解説

権限
けんげん

通常は一定の行為をなしうる権能をいう。
(1) 法律上用いられる場合には,(a) 公法上は,国や地方公共団体の機関が法律上行いうる行為の範囲 (事項,地域によって限定される) をいい,(b) 私法上は,代理人や法人の機関が,法令,契約に基づいて行いうる行為の範囲をいう。企業における経営管理の点からいえば,職務分担に伴う職責遂行上の権利のこと。企業,部門の目的を効果的に達成するために,命令者の指示するとおりに作業するように従業員に求める命令権などをさす。

(2) 権限の委任 行政庁が法律上定められた自己の権限の一部を他の行政機関に委譲すること。事務の委任ともいう。権限の委任は,法が明示的に認める場合に,その権限の一部に限って行うことができる。また受任機関は,委任された権限を自己の権限として自己の名と責任において行使する。これらの点で,権限の代理や専決・代決と区別される。
(3) 権限の代理 行政庁の権限の全部または一部を他の行政機関が本来の行政庁を代理して行使すること。権限の委任と異なり,対外的には権限の移動は生じず,代理機関は代理者であることを示して権限を行使し,被代理行政庁の行為としての法的効果を生じる。被代理行政庁の授権により代理関係が生じる授権代理と,法定事実の発生により法上当然に代理関係が生じる法定代理とがある。代理権限の範囲は,授権代理の場合には被代理行政庁の権限の一部に限られるのに対し,法定代理の場合にはそのすべてにわたることを原則とする。

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改訂新版 世界大百科事典 「権限」の意味・わかりやすい解説

権限 (けんげん)

一般に,国・地方公共団体,各種法人の機関または個人の代理人などが,法令または契約上行いうる行為の範囲またはその能力をいう。その用例としては,長の予算提出権限(地方自治法97条2項),国の機関としての都道府県知事の権限(146条1項),代理人の権限(民法110条),管理人の権限(28条)などがある。また,権限の概念は,とくに行政法上は,行政庁が法令上行いうる行為の範囲を意味し,管轄,職権,職務,職責などともいわれる。行政庁の権限は,その属する国・地方公共団体などの行政主体(行政体)の利益のために認められたものであり,権限行使の法的効果は,直接,行政主体に帰属する。なお,行政庁の権限は,通例,事項(事務)および地域などにつき一定の限界を有する。その限界を超えてなされた行為は,権限外または無権限の行為として,原則として無効である。
権限争議
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普及版 字通 「権限」の読み・字形・画数・意味

【権限】けんげん

権能。

字通「権」の項目を見る

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