演劇用語。喧嘩(けんか)、試合、捕物(とりもの)、殺人など、広く闘争の演技をいう。歌舞伎(かぶき)から出た語だが、「殺陣」の字をあてるのは歴史が浅く、本来は「タテ」「たて」と書き、また「立回(たちまわ)り」とよんだ。歌舞伎のタテは時代・お家・世話の三大種別のほか、だんまりと舞踊劇中で演じる所作ダテなどに分けられるが、すべて様式化された動きを音楽にのって美しく見せることが多く、動きの基礎には「とんぼ」(宙返り)をはじめ数々の型があり、型の組合せによって200種に及ぶ形式が構成されている。タテを考案する専門家を立(タテ)師といい、現代では坂東八重之助(ばんどうやえのすけ)(1909―87)が有名。なお、近年の剣劇をはじめとする各種演劇、映画、テレビなどでは、俗にチャンバラといわれる写実的なタテが多いが、これらにも専門の殺陣師を設ける場合が多い。
[松井俊諭]
『郡司正勝・坂東八重之助編『歌舞伎のタテ』(1984・講談社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…演技用語。タテともいい,〈殺陣〉を当て字する用例は歴史が新しい。劇中,捕物や殺し場などで演ずる太刀打や争闘技をいう。…
※「殺陣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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