無垢(読み)ムク

デジタル大辞泉 「無垢」の意味・読み・例文・類語

む‐く【無×垢】

[名・形動]
仏語。煩悩のけがれを離れて、清浄であること。
けがれがなく純真なこと。うぶなこと。また、そのさま。「無垢な少女」
金・銀などがまじりけのないこと。「金無垢
和服で、表裏同色の無地の共布で仕立てた長着白無垢婚礼衣装に、色無垢略礼装に用いられる。
[類語]純粋至純綺麗清い清らか清潔清浄せいじょう・しょうじょう清澄清冽せいれつ清麗純潔純正純一純良じゅん無雑むざつ真正っ粋生一本生え抜きちゃきちゃき純然たる醇乎じゅんこたる清楚プラトニックナイーブ純情清純純真無垢純真貞操みさお

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精選版 日本国語大辞典 「無垢」の意味・読み・例文・類語

む‐く【無垢】

〘名〙 (形動)
① (心をけがす垢(貪・瞋・痴)のない意) 仏語。煩悩のないこと。また、そのさま。
※性霊集‐五(835頃)請越州節度使内外文書啓「能仁無垢、法雨西灑」 〔蘇軾‐余過温泉壁上有詩、亦作一絶詩〕
② 清らかでけがれのないこと。うぶで世間知らずであること。また、そのさま。
※評判記・吉原すずめ(1667)下「むひつのものをば、ことばにてやき、むくの人をば、文にてころす」
③ 金、銀などが、まじりけがなく純粋であること。また、そのさまやそのもの。
日葡辞書(1603‐04)「Mucuno(ムクノ)カウガイ」
※暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉一「かぶせぢゃあ、有りません〈略〉これがむくでしたら大したものですよ」
布地が全部無地で同色であること。衣服などの上着から下着まで無地で同色であること。多く、白無垢にいう。江戸中期までは下着は緋無垢、黄無垢、浅黄無垢などの色無垢が普通。
※俳諧・桃青三百韻附両吟二百韻(1678)「塗桶に鱸のわたをつみかけて〈信徳〉 平目白うらむくの黒鯛〈信章〉」
歌謡・松の葉(1703)二・さくら尽「下にはむくの緋桜や、樺に浅黄をこき交ぜて」
⑤ 中に物が詰まっていること。あるいは、見せかけでなく本物であること。また、そのものやさま。
※いたづら小僧日記(1909)〈佐々木邦訳〉「教場に地球がある。是は全く円い。しかし彼(あれ)は全(ムク)か空虚(がらんど)か分らないから、近日(そのうち)に穴を明けて見やう」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「無垢」の意味・わかりやすい解説

無垢
むく

袷(あわせ)長着の表布と裾(すそ)回し布を共布で仕立てたものをいう。表着(うわぎ)のほか、襲(かさね)下着の仕立てにも行う。白無垢は婚礼衣装や、葬儀の際に用いられる。女性の礼装である黒五つ紋付の留袖(とめそで)と、その下着の白羽二重(はぶたえ)は、いずれも無垢仕立てにする。下着を簡略化した比翼仕立ての場合も同様である。男子の黒五つ紋付長着には、明治末期まで、浅葱(あさぎ)色などの通し裏をつけ、その下着にはねずみ色羽二重(はぶたえ)などの無垢小袖を二枚重ねて着用したが、その後は黒羽二重の表着も無垢仕立てとなって今日に至っている。女性は江戸末期になると、それまで通し裏であった小袖に裾回しをつけるようになり、黒紋付、裾模様、小紋、縞(しま)などの縮緬(ちりめん)も無垢仕立てとし、二枚重ね、三枚重ねにすることが明治の末まで行われた。昭和に入ってからは、礼服を除き、変り裾が流行し、表地と裾回しの色の取り合わせによる、色彩効果を求めるようになった。

[岡野和子]

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リフォーム用語集 「無垢」の解説

無垢

建築では、主に木材に対して使用される言葉。混ざり気のないという意味で、一本の木から取れるつなぎ目のない材木を無垢材という。木本来の質感、風合いという面で魅力があり、化学物質を含まない自然素材。特徴は、調湿作用があり、湿気の多い日は水分を吸収し、乾燥している日は水分を放出して湿度を一定に保つ性質がある。そのためコンクリートの約2倍もの断熱性がる。その反面、『縮む』『膨らむ』という性質があり、多少の反りや割れが起こる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無垢」の意味・わかりやすい解説

無垢
むく

仏教用語。煩悩のけがれがなく,清らかなことをいう。一般には,精神や肉体がけがれておらず純粋なことを意味し,また下着から表着まで表裏すべて同色の布地で仕立てた着物のことをもいい,おもに白無垢をいう。

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普及版 字通 「無垢」の読み・字形・画数・意味

【無垢】むく

清らか。

字通「無」の項目を見る

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