笹の露(読み)ささのつゆ

精選版 日本国語大辞典 「笹の露」の意味・読み・例文・類語

ささ【笹】 の 露(つゆ)

① 笹の葉におく露。
山家集(12C後)下「庵さす草の枕に伴なひてささの露にも宿る月かな」
② 転じて、ほんのわずかな量にたとえていう。
※続鳩翁道話(1836)二上「酒と聞いては、笹(ササ)の露(ツユ)にも酔ふ程の下戸じゃ」

ささのつゆ【笹の露】

地唄箏曲生田(いくた)流。文政天保一八一八‐四四)頃、京都菊岡検校が三味線曲として作曲。これに八重崎検校が箏の手を加えて合奏曲とした。島田西三作詞で、和漢故事を並べて酒の徳をたたえたもの。手間間奏)に重点をおいた手事物で、手事の中に掛け合いの非常に多い曲。

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デジタル大辞泉 「笹の露」の意味・読み・例文・類語

ささのつゆ【笹の露】

地歌箏曲そうきょく手事物てごともの島田両三の詞に菊岡検校が曲をつけて、文化・文政(1804~1830)ごろ成立。それに八重崎検校が箏の手をつけた。酒の徳をたたえる曲。別名「酒」。

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改訂新版 世界大百科事典 「笹の露」の意味・わかりやすい解説

笹の露 (ささのつゆ)

地歌・箏曲の曲名。《酒》とも。三弦は菊岡検校(1792-1847),箏は八重崎検校(1776?-1848)が作曲した京風手事物。島田両三作詞。1870年(明治3)《新うたの林》に初出。酒をたしなんだ孔子をほめ,36の失ありと諫めた仏は下戸だとして,素戔嗚(すさのお)尊の大蛇退治も,応神天皇大石を動かしたことも酒の徳で,神功皇后が帝を待って酒を作り,ささと歌ったことや,劉伯倫や李太白も酒を飲まねばただの人であると,酒の徳をたたえた粋な歌詞の曲である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「笹の露」の意味・わかりやすい解説

笹の露
ささのつゆ

地歌の曲名。別名「酒」。京都の菊岡検校作曲。島田両三 (造) 作詞。和漢の故事を並べて酒の徳をたたえたもの。八重崎検校作曲の箏の旋律が合奏され,いわゆる京風手事物の地歌箏曲として行われる。手事が2ヵ所にある形式で,特に三弦と箏との掛合の多いのが特色。本調子物。本来生田流の曲であるが,山田流箏曲にも移されている。

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百科事典マイペディア 「笹の露」の意味・わかりやすい解説

笹の露【ささのつゆ】

地歌,箏曲の曲名。島田両三(両造)作詞,菊岡検校作曲,八重崎検校箏手付の京風手事物。和漢の故事・伝説を引用して酒をたたえたもので,別名《酒》。

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