未成年の子に対し、身の回りの世話・教育といった身上監護や、財産管理をする権利で、義務の性質もあるとされる。現行民法では、婚姻中は父母が共同で親権を持ち、離婚後は父母の一方を親権者にすると定めており、片方しか親権者になることはできない。法務省によると、1960年に父母が離婚した未成年の子どもは約7万人だったが、2022年は約16万人に増加。政府はこうした社会状況に鑑み「離婚後も父母双方が適切な形で養育に関わり、責任を果たすことが望ましい」と説明している。
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父母が未成年の子(実子および養子、ただし未婚の者)に対して有するさまざまな権利・義務の総称(民法818条以下)。親の子に対する権利をどのような性質のものとするかについては、歴史的にみて二つの大きな潮流があった。一つはローマ法の考え方で、父親あるいは家長は子のうえに絶対的な支配権を有するというものである。そこでは、父親だけが親権者となることができ、また、子は成年に達しても親権に服した。他の一つはゲルマン法の考え方である。ゲルマン法では、親は子に対してさまざまな権利をもつが、それは弱者に対する保護という目的からくるのだと考える。そこでは母親も親権者となりうるし、親権に服するのは未成年の子だけということになる。大ざっぱにいえば、親権法は、権威を主柱とする前者の考え方から、保護を目的とする後者の考え方にしだいに変遷してきたといえる。現在では、親権は親の権利というよりは、むしろ未成年の子を養育するために、親に対して与えられた職分であると解するほうが正しいとされる。
[高橋康之・野澤正充 2016年5月19日]
親権を行うのは原則として未成年の子の父母である。未成年の子の父母が健在ならば父母が共同で親権を行うのが原則であるが、その一方がいなかったり、長期間不在のため事実上親権を行うことができなかったり、親権喪失の宣告を受けたりしたときは、他の一方だけが親権者となる(民法818条3項)。また父母が離婚をする場合には、協議離婚のときは協議で、裁判離婚のときは裁判所が、それぞれ父母のどちらか一方を親権者と定める。嫡出でない子に対しては母が親権を行うが、父が認知した場合には父を親権者とすることもできる(同法819条)。養子に対しては実親ではなく養い親が親権者となる。なお親権者となるべき者がいなくなり、または親権者が管理権を有しないときは、未成年後見が開始することになる(同法838条1号)。
[高橋康之・野澤正充 2016年5月19日]
未成年の子の健全な保護育成のために民法は親権者の権利・義務を列挙している。
(1)親権者は、子の利益のために子の監護・教育をする権利を有し、義務を負う(民法820条)。父母が離婚する場合には、どちらが未成年の子を監護するかを、協議で、協議が調わないときは家庭裁判所が定める。監護者は親権者と同じであっても異なってもよい。
(2)親権者は監護・教育の目的を達するために、子に対してその居所を指定する権利がある(同法821条)。他人が未成年の子を連れ去って親のもとに帰さないときなどは、親はこの権利に基づいて、その他人の妨害の排除を裁判所に請求できることになる。
(3)監護・教育のために必要な範囲内で自分の子を懲戒することができる(同法822条)。
(4)未成年の子は親権者の許可を得なければ職業を営めない。いったん許可を与えても、未成年者がまだ営業に耐えないとみられるときは、許可を取り消したり、制限したりすることができる(同法823条)。
(5)親権者は自分の財産を管理するのと同じ程度の注意を払って、子の財産を管理する(同法827条)。しかし第三者が無償で子に与えた財産について、父母に管理させないといったときは、その財産は父母の管理に属さない(同法830条1項)。また子の財産上の行為については、親権者は法定代理人として子にかわって法律行為をする(同法824条)。未成年の子が自分で判断する能力をもつようになると、子が行う財産上の行為に親権者が同意を与えるだけでもよい。ただし子が利益を得るだけでなにも義務を負わない場合には、子は親権者の同意を得なくてもよい(同法5条1項)。
[高橋康之・野澤正充 2016年5月19日]
親権者が子の法定代理人として行為する場合でも、未成年者にかわって労働契約を締結することはできない(労働基準法58条1項)。親と雇主との間でかってに子の就職を決めてはならないのである。また、親が子の有する不動産を買ったり、数人の子のために遺産分割をするような場合に、親権者がその子を代理しては子の利益を害することがありうるから、そのような場合には、特別代理人を定めることを家庭裁判所に請求しなければならない(民法826条)。
[高橋康之・野澤正充 2016年5月19日]
親権は子のために負う親の義務であるから、親権者はかってにやめることはできず、病気などのやむをえない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権者または財産の管理をやめることができる(民法837条1項)。また、親権者は、子の利益のために親権を行使するのであるから(同法820条)、親権を適切に行使しない父母については、家庭裁判所が、親権者の地位を剥奪(はくだつ)する(親権喪失の審判=同法834条)か、2年を上限に親権者の地位を停止する(親権停止の審判=同法834条の2)か、財産管理権のみを剥奪する(管理権喪失の審判=同法835条)ことができる。これらの審判を申し立てることができるのは、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人または検察官である。児童虐待の増加により、親権の喪失・停止の申立てが増えている。
[高橋康之・野澤正充 2016年5月19日]
国際的親子関係には、夫婦から生まれた子についての嫡出親子関係、夫婦でない男女間から生まれた子についての非嫡出親子関係、さらに、養子縁組により養子となった子についての養親子関係があるが、日本の国際私法典である「法の適用に関する通則法」(平成18年法律第78号)第32条によれば、いずれのタイプの親子関係であれ、親権を含む親子間の法律関係については、次のような段階的連結により準拠法が定められることとされている。すなわち、第1段階として、生存している父または母の本国法のいずれかが子の本国法と同一であれば、その法による。この場合、重国籍者については、国籍を有する国のうち常居所を有する国があればその国の法がその者の本国法とされ、そのような国がなければ当事者にもっとも密接に関係する国を具体的状況に基づいて判断し、その国の法がその者の本国法とされる(同法38条1項)。他方、無国籍者の場合にはこの第1段階は成立しないものとして扱われる(同条2項但書)。次に、この第1段階が成立しない場合には、第2段階として、子の常居所地法が準拠法とされる(同法32条)。
このように、第1段階の準拠法決定がされる理由の一つは、協議離婚の際の親権者の指定の場合、戸籍窓口での形式審査だけで処理ができるようにするという実務上の必要によるものである。すなわち、日本法により協議離婚をする場合、子がいるときには、父母のいずれか一方を親権者と定める必要があるところ、日本での協議離婚届がされる多くは、いずれか一方の親が日本人である場合が多いので、その親と子が日本人であることが戸籍で確認できれば、前記の第1段階により日本法が準拠法となることを形式審査だけで確定することができるからである。ちなみに、日本の国籍法では父母両性血統主義が採用されているので、いずれか一方の親が日本人であれば、原則として子も日本人となる。一般に、子の本国法が両親の本国法のいずれとも異なることは、両親の本国と異なる本国を有する子を養子にし、その子の国籍を変更しない場合等に限られ、前記の第1段階で準拠法が定まる場合がほとんどである。
なお、親権は未成年者の子と親との関係において行使されるものであるから、「法の適用に関する通則法」第32条の適用の先決問題として子が未成年者か否かを決定する必要があるが、これについては人の行為能力はその本国法によると定める同法第4条により、その準拠法が成年年齢を何歳としているかによることになる。
[道垣内正人 2022年4月19日]
親権が害される場合としてもっとも深刻なのは、婚姻関係が破綻(はたん)した両親の間で子の奪い合いが生じ、国境を越えて子を連れ去る事件である。日本から連れ去られた子の取戻しを外国の裁判所で請求することや、国外から日本へ連れ去った子についての日本の裁判所での取戻し請求事件が現実に発生している。日本での手続として利用されてきたのは、人身保護法(昭和23年法律第199号)である。本来は権力者による不当逮捕等からの解放を裁判所に求めるためにイギリスで発達した「人身保護令状」に起源を有するものであり、第二次世界大戦後に日本に導入された制度であるが、迅速かつ実効的な解決が与えられるので、日本では国内事件を含めて子の連れ戻しのために活用されてきた。子の引渡し命令がなされるのは、違法に拘束されていると認定される場合であり、この種の事件では、違法性は子の幸福のためにはどちらで生活するのがよいかという観点から判断される。
国際的な子の奪い去りの場合に重要なことは、迅速な原状回復である。そうでなければ、子はすぐに新しい国に慣れてしまい、元の国に戻すことが困難となるからである。そこで、国際的な協力体制をつくろうとする条約が締結されている。1980年(昭和55)にハーグ国際私法会議で採択された「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」がこれであり、申立てにより、各国であらかじめ定められた中央当局(日本では外務省)が子の所在の発見、裁判の援助、情報交換等、子の返還のために必要な措置をとることとされている。締約国は、先進国を中心に100か国を超えている。日本は2014年(平成26)に批准し、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」(平成25年法律第48号)を制定して運用している。
[道垣内正人 2022年4月19日]
子の保育,監護,教育,財産管理などを行う親の包括的な権利・義務,あるいはその職務をいう。
未成年者は,法律上1個の独立した人格として扱うに足る精神的・肉体的能力をもたないとされるから,だれかがこれをめんどうみなければならない。法律は,第一次的にその未成年者の親がこれに当たるものとして,この職務を親権と呼んでいる。とりわけ今日では,未成熟子の保育,監護,教育が親権の中核とされ,その目ざすところは子の福祉の実現にあると解されている。
親権が法律上の制度として登場するのは,家父長が家族員全体を総括する父権的な大家族制度が解体し,家族員のなかの親子の関係が独自の存在として承認されてのちのことである。しかし,家族の主流が依然基本的な生産単位であった近代初期の社会においては,家族内に父親を中心とする権力支配関係が残存し,親権は,父親が子を支配し服従させるための権威・権限と考えられていた。親権が未成熟子に対する監護・教育を中核として法的に構成されるのは,家族の典型形態が,夫婦と未成熟子とからなる消費の単位に完全に転化し,他方,父母の平等と子の将来の市民としての尊重とが社会的に承認されるに至ってからである。子が将来の市民として尊重されるというのは,子は次代の社会の担い手として,家族や親のものであるよりはむしろ社会のものであることが,したがって,子の福祉を保障し,子を一人前の社会人に育てることは社会全体の義務であり権利であることが承認されることである。今日親権について,権利というより義務であることが,親の特権というより親の社会的職務であることが,強調されるのもそのためである。しかし,子の虐待,子捨て,子殺し,無理心中などが今日なお後を絶たないのは,上のような考え方の定着が,現実にはいかに困難であるかを示しているといえよう。
親権に服するのは未成年の子に限られる。子が嫡出子の場合に,父母がともに健在で,正常な夫婦関係にあるときは,父母が共同して親権を行使する(共同親権の原則)。父母の一方が死亡し,あるいは親権を喪失したり行方不明であったりして親権を行使できないときは,他の一方が単独親権者となる(民法818条)。父母が離婚する場合に,協議離婚のときは父母の協議で,裁判離婚のときは裁判所によって,父母の一方を単独親権者と定め(離婚届に記載する必要がある),子の出生前の離婚のときは,子の出生後母親が親権者となり,後の父母の協議で父を親権者と定めることができる(819条1項~3項)。子が嫡出でない子(非嫡出子)の場合には,母が親権者となるが,父の認知後に,父母の協議で父を親権者と定めることもできる(819条4項)。いったん父母の一方が親権者と定められても,子の利益のために必要と認めるときは,家庭裁判所は,子の親族の請求によって,親権者を他の一方に変更することもできる(819条6項)。なお,子が養子となった場合には,従来の実親の親権は消滅して養親が親権者となる(818条2項)。
親権者は子の監護・教育をする権利を有し義務を負う(820条)。この監護・教育の実をあげるために,親権者は子の居所を指定し,必要な範囲で子を懲戒し,子の営業・職業について許可を与え,またはこれを取り消すことができる(821~823条)。また,子を不法に手もとに置く者に対し,親権に基づいて子の引渡しを求める権利があると解される。子に財産がある場合には,親権者はその財産を管理し,子の財産行為を代理する権利がある(824条)が,子に代わって労働協約を結ぶことは禁止されている(労働基準法58条)。親権者が子から財産の譲渡を受けたり,親権者自身の債務のために子を保証人にしたりする行為は,利益相反行為となるので,親権者は家庭裁判所に特別代理人の選任を請求し,この者に子を代理させなければならない(民法826条)。親権者みずからが子を代理してそのような行為をした場合には,無権代理行為として,子の成人後の追認のないかぎり,その行為の効力は子に及ばないとされる。
親権者が監護・教育の職務を不当に行使し,または不当に行使を怠って子の福祉を著しく害したとか,親権者の反倫理的な行為により子の品性を害し心身の健全な発達を妨げたとかのように,親権者の行為が親権の濫用または著しい不行跡と認められる場合には,家庭裁判所は,子の親族または検察官の請求によって,親権の喪失を宣告することができる(834条)。また親権者の管理行為が失当であったため子の財産が危うくなった場合には,同じ手続で財産管理権のみの喪失を宣告することもできる(835条)。なお,親権者にやむをえない事由があるときは,家庭裁判所の許可を得て,親権または管理権を辞することができる(837条)。
執筆者:川田 曻
上述のような内容をもった親権に関する諸問題の処理にあたって,少なくとも父母または子のうちの1人が外国の国籍をもっていたり,外国に居住していたりするときは,日本の法律だけでなく外国の法律にも適用される理由が認められ,いずれの国法によるかがさらに問題となる。日本の国際私法は,前項までに取り上げられている諸問題を一括して〈親子間ノ法律関係〉としてとらえ,子の本国法が父母いずれかの本国法と同一のときは子の本国法,そのいずれとも同一でないときは子の常居所地法を基準にすると定めている(法例21条)。
親権の中核的な内容である子に対する養育義務,ことにその金銭的な側面については,日本も1964年以来〈子に対する扶養義務の準拠法に関する条約〉(1956年,ハーグで締結)に加入しているため,少なくとも子が日本に常居所をもつ限り,その国籍がなんであるかを問題とせず,すべて日本の法律に従って定められる。これによって原則的には父の本国法を基準としていた法例の旧規定(旧20条)は実質的に変更を受け,子に対する扶養に関しては子の常居所地の法律が基準となるようになっていたのである(同条約1条)。他方,日本国籍をもつ子の場合でも,この条約の締約国(現在はほとんどが西ヨーロッパ諸国)に在住するときは,それらの常居所地の法律に従うことになり,日本法は基準とされないのを原則とした。さらに今日では,この条約を一般の扶養義務にまで拡大した〈扶養義務の準拠法に関する条約〉(1973年,ハーグ)を日本も批准し,〈扶養義務の準拠法に関する法律〉(1986)が制定されている。子が常居所地法によっては扶養を受けられないときでも,最終的には日本の法律に従い扶養を享受できるようになったのである(同法2条2項)。
これまで最も問題とされたことの一つは,父母が離婚をする際にいずれを子の親権者・監護権者とするかを定める基準を何国法とするかについてであった。これを離婚に関する準拠法と同一のものとするか,親子間の問題である限り,親子間の法律関係の準拠法に一括して従わせるか,この問題が判例と学説そのいずれにおいても争われ,立場はほぼ二分されていた。1989年の法例の一部改正において,子に関する諸問題の準拠法の選定にあたっては,子を中心として決定すべきであるという原理が採択され,子の本国法,あるいは子の常居所地法に依ることとした(法例21条)。こうした原理を意図的に採択した趣旨からすると,夫婦に共通する要素を規準として選定された離婚の準拠法を基準とすることは,もはや妥当ではないということになるであろう。
近時は,国籍の異なる親同士が国境を超えて子を奪い合う事態も,珍しくない。外国裁判所の判決などに基づいて,外国人の親が日本で子の引渡しを求める事件が増えている(東京高裁判決,1993年11月15日)。この場合は,外国判決の承認・執行が問題となる。また,人身保護法を援用して,奪い去られた子を拘束から解放することによって,問題解決が図られることもなされている(最高裁判決,1985年2月26日)。しかし,裁判所の判断が内外で異なる可能性も少なくなく,いずれが本当に子の福祉にかなうか問題があるので,ハーグ国際私法会議は〈子の国際的な奪取の民事面に関する条約〉(1980年採択,1983年発効)を成立させ,不法に連れ去られたり不当に留め置かれたりしている子を,正当な監護権者の下に迅速に返還させることを確保し,他方では親が面接権を効果的に享受できるよう,国家間の緊密な協力関係の仕組みを規定した。このほか,西欧諸国の間には同様の趣旨をもったヨーロッパ条約がすでに存在している(〈子の監護および監護の回復に関する決定の承認および執行に関するヨーロッパ条約〉(1980年採択,1983年発効))。
こうしたところからすると,国際的な次元では,いまや,日本民法では親権,日本国際私法では親子間の法律関係として一括されていた諸問題の中から,子に対する監護・養育,面接,養育費・扶養料などの部分が取り出されて個別の規制の対象となりつつあることが,見てとれよう。他方では,親権と後見とが一括して未成年者の保護という観念でまとめられる傾向にあることも指摘できる。ハーグ国際私法会議が1996年に採択した最近時の条約が〈親責任および子の保護措置に関する管轄・準拠法・承認・執行および協力に関する条約〉という名称を付けられたことが,このことを象徴しているであろう。
執筆者:秌場 準一
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…勘当したりこれを宥免したりする権利は親(とくに父)の有するところで,父死亡後は母もしくは兄がこの権利を行使した。このような場合の兄の勘当権については,これを親代りの兄が親に代わって親権を行使するものと解する説と,兄が当主たることにもとづいて行使する当主権の発動であるとみる説とが対立している。明治になって勘当の制度は廃止されたが,明治民法に見られる法定推定家督相続人の廃除(廃嫡)や戸主の居所指定権ないし離籍権は,そのなごりであるとも考えられる。…
…包括的概念として用いられる場合を別として,教育方針,教育内容の決定と実施に関する権能として具体的に問題となるのは,(1)親の教育権,(2)教育権についての国民と国家の関係,(3)教師の教育権である。 (1)発生史的にいえば,教育権は子にたいする親の権利(親権)の一部をなすものであったから,家族法の生成とともに古い概念である。しかし歴史的発展のなかで,親権は子にたいする支配権ではなく,子どもの発達を保障する親の義務と解されるようになってきた。…
…まず前者について述べ,後者については前者との差異点のみを述べることにする。
[未成年後見]
日本の民法では,未成年者の親が親権者となり未成年者を保護するのが原則である。しかし,未成年者に親がいないとき,または,親があっても親権喪失や親権行使不能のため保護の任務を果たすことができないときには,後見が開始し(民法838条1項),親権者の役割を代行する後見人がおかれる。…
…こうしたことは,子どもに対する親としての教令権についても同じであった。つまり《御成敗式目》の18条が,〈男女の号異なりといえども,父母の恩惟(これ)同じ〉と記したように,当時においては,子どもに対して親権(教令権)を行使しうる立場にあったのは,父と母との両名だった。これは,きわめて平凡なことのように思えるかもしれないが,中世後期から江戸時代になると,親権といえば父の権限のことに限られるようになるから,それと比較するとき,鎌倉時代における上記の事実は,やはりこの時代の特色を示すものとして,はっきり確認されなければならない。…
※「親権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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