謹慎(読み)キンシン

デジタル大辞泉 「謹慎」の意味・読み・例文・類語

きん‐しん【謹慎】

[名・形動](スル)《古くは「きんじん」とも》
言動をひかえめにすること。また、そのさま。「酒をやめて謹慎する」
「―な性質で居ながら、五日と尻がすわらない」〈逍遥当世書生気質
一定期間、出勤登校などを差し止める処罰。
江戸時代上級武士に適用された名目上の刑で、門戸を閉じて昼間出入りを禁じたもの。つつしみ
[類語]遠慮気兼ね心置きはばか控え目斟酌しんしゃく忌憚きたん内輪憚る控える差し控える慎む断る

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精選版 日本国語大辞典 「謹慎」の意味・読み・例文・類語

きん‐しん【謹慎】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 )( ━する ) 言葉や行ないをひかえめにすること。また、そのさま。つつしみぶかいさま。
    1. [初出の実例]「謹慎 人情部 キンジン」(出典:色葉字類抄(1177‐81))
    2. 「其の謹慎(キンシン)な性質で居ながら、五日と尻がすはらないで」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉三)
    3. [その他の文献]〔諸葛亮‐前出師表〕
  3. 刑罰一種。一定期間、ある場所にいさせて外出を許さないこと。
    1. (イ) 江戸時代、士分以上の者に科せられた刑。
      1. [初出の実例]「尾張、水戸、越前、三家に謹慎を命ず」(出典:嘉永明治年間録(1869)七)
    2. (ロ) 明治以後の陸海軍で行なわれた懲罰の一つ。
      1. [初出の実例]「将校 一、重謹慎 二、軽謹慎」(出典:陸軍懲罰令(明治四一年)(1908)五条)
    3. (ハ) 学校などで行なう学生への処罰の一つ。登校を差し止めること。放校、退学停学に次ぐ。

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改訂新版 世界大百科事典 「謹慎」の意味・わかりやすい解説

謹慎 (きんしん)

言動を控え,みずからを戒めることで,刑罰・制裁としても科せられた。江戸時代,慎(つつしみ)と称した公家・武士の閏刑(じゆんけい)(特定の身分の者や幼老・婦女に対し本刑の代りに科す刑)は,《公事方御定書》が規定する逼塞(ひつそく),遠慮に類似の自由刑で,他出・接見などの社会的活動を制限することに実質的意義があったが,また名誉刑的な性格ももつ。幕末には大名処罰に隠居と併科された例が多くみられる。近代では,刑罰としての謹慎は1870年(明治3)の新律綱領士族官吏僧徒の閏刑として存した。懲戒罰としては皇族・王公族の懲戒に置かれ,また陸・海軍懲罰令も謹慎の罰種を定めたほか,華族の懲戒にも一時用いられた。
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普及版 字通 「謹慎」の読み・字形・画数・意味

【謹慎】きんしん

つつしみ深い。蜀・諸亮〔出師の表〕先、臣の愼なるを知る。故にずるに臨み、臣に寄するに大事を以てせり。

字通「謹」の項目を見る

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「謹慎」の解説

謹慎
きんしん

江戸時代に罪を犯した武士を自宅にとじこめ,外部との接触を禁じる刑罰が発達したが,これもその一種。門戸が閉ざされ,昼間の出入が禁止された。自宅閉居の刑罰として,ほかに閉門・逼塞(ひっそく)・遠慮・押込(おしこめ)などがあった。明治初年の新律綱領も,士族身分に対する最も軽い刑罰として謹慎を設けたが,改定律例では禁錮と改称され,やがて自宅外の獄舎にとじこめる禁獄へと変化していった。

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世界大百科事典(旧版)内の謹慎の言及

【遠慮】より

…江戸幕府の下における刑罰ないし自発的謹慎。刑罰としては,武士,僧侶に科され,受刑者は屋敷に籠居して門を閉じるが,潜門(くぐりもん)は引き寄せておくだけでよく,夜間他の者が目だたぬように出入りしてもよかった。…

※「謹慎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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