電力会社どうしが電気を相互にやりとりするために使う送電設備。高電圧の送電線と周波数変換設備からなり、想定を超えた気温変動、発電所事故、大規模災害などによる電力需給の逼迫(ひっぱく)に備え、電力会社間で電力融通を行う機能を担っている。また北海道は冬季に電力最大需要期を迎えるのに対し、本州は夏場の電力消費が多くなるなど、電力需要のピーク期が異なるため、連系線を活用して需要の平準化や発電所の建設コストを抑える効果も期待できる。2016年(平成28)4月の電力小売り全面自由化以降、地域をまたぐ電力販売が広がると想定され、連系線の送電・電力変換能力が課題となっている。しかし連系線の利用は送電距離が長くなるうえ交流と直流を変換する必要もあり、電力損失が発生する弊害がある。また連系線の能力増強には用地買収などで巨額の費用と長期の工期がかかる。
日本には、「北海道・本州間連系設備(北本連系線)」、「東北・東京間連系線」、周波数の異なる東日本と西日本との間で周波数変換する「新信濃(しんしなの)周波数変換設備」「佐久間(さくま)周波数変換設備」「東清水(ひがししみず)周波数変換設備」の3設備、「中部・北陸間連系設備」、「北陸・関西間連系線」、「中部・関西間連系線」、「関西・中国間連系線」2本、「関西・四国間連系線」、「中国・四国間連系線」、「中国・九州間連系線」という主要な13の連系線がある。これにより、沖縄を除く大手電力9社の送配電網がつながっている。2011年の東日本大震災後に深刻な電力不足に陥った教訓を踏まえ、連系線の能力を増強すべきであるとの主張が高まった。このため全国規模で電力需給を調整する電力広域的運営推進機関は、東日本と西日本を結ぶ周波数変換設備の能力を120万キロワットから300万キロワットに引き上げるほか、北海道・本州間連系設備の送電能力を60万キロワットから90万キロワットへ強化する計画である。電力自由化が進んだヨーロッパでは国家間の電力融通が盛んで、国際連系線の新増設が課題となっている。
[矢野 武 2016年6月20日]
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新