運営費交付金(読み)うんえいひこうふきん

大学事典 「運営費交付金」の解説

運営費交付金
うんえいひこうふきん

国立大学法人や大学共同利用機関法人(以下,国立大学法人等とする)の運営費として国庫より措置される資金。2004年(平成16)4月の国立大学法人制度の発足に伴い,新たに導入された。独立行政法人通則法46条には「政府は,予算の範囲内において,独立行政法人に対し,その業務の財源に充てるために必要な金額の全部又は一部に相当する金額を交付することができる」と規定されており,国立大学法人等に対する運営費交付金には同条項が準用されている。運営費交付金は中期目標・中期計画に記載された教育研究を確実に実施するための基盤的経費であり,法人の自主性・自律性を確保するため人件費・物件費の区分は盛り込まれていない。交付額は,法人化時においては法人化前の公費投入額を踏まえて必要経費と自己収入額が算出され,これに基づき決定された。また次年度以降は,前年度の算定額をベースとして効率化係数や経営改善係数を乗じて交付額が算定された。第2期中期目標期間(2010~15年度)においては,第1期に設定されていた効率化係数を改め,大学改革促進係数が採用された。さらに,第3期中期目標期間(2016~21年度)においては大学改革促進係数を改め,機能強化促進係数が導入された。運営費交付金の2015年度予算額は約1兆1000億円である(文部科学省『文部科学白書2015』)
著者: 吉田香奈

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

知恵蔵 「運営費交付金」の解説

運営費交付金

国の組織の一部だった国立大学が2004年に法人化されたことを受け、各校の収入不足を補うために国が出している補助金が運営費交付金だ。現在は各校の学生数などに連動して配分されているが、07年2月に政府の経済財政諮問会議民間議員が、配分ルールを「努力成果に応じたものに変えるべきだ」と提案した。国立大は「地方や文系単科の大学が破綻(はたん)する」などと反発。こうした声を受けた文部科学省の働きかけもあり、同会議が6月にまとめた「骨太の方針」では、「基盤的経費を確実に措置」し「適切な配分を実現する」とトーンダウンした。

(増谷文生 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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