震度(読み)シンド

デジタル大辞泉 「震度」の意味・読み・例文・類語

しん‐ど【震度】

ある場所における地震動の強さの程度を表す階級震度階気象庁震度階級では、以前は震度0(無感)・1(微震)・2(軽震)・3(弱震)・4(中震)・5(強震)・6(烈震)・7(激震)の8階級に分けていた。平成8年(1996)からは、震度5と6をおのおの弱と強に分けて、10階級で表すようになっている。かつては、人体の受ける感じや周囲の状況などによって推定していたが、この時から、計測震度計により自動的に観測し速報するようになった。→マグニチュード
[補説]気象庁震度階級関連解説表(抜粋)
震度階級人の体感・行動屋内の状況屋外の状況
0人は揺れを感じないが、地震計には記録される。  
1屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。  
2屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れる。 
3屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。歩いている人の中には、揺れを感じる人もいる。眠っている人の大半が、目を覚ます。棚にある食器類が音を立てることがある。電線が少し揺れる。
4ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが、揺れを感じる。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。電灯などのつり下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てる。座りの悪い置物が、倒れることがある。電線が大きく揺れる。自動車を運転していて、揺れに気付く人がいる。
5弱大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。座りの悪い置物の大半が倒れる。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。まれに窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。道路に被害が生じることがある。
5強大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。棚にある食器類や書棚の本で、落ちるものが多くなる。テレビが台から落ちることがある。固定していない家具が倒れることがある。窓ガラスが割れて落ちることがある。補強されていないブロック塀が崩れることがある。据付けが不十分な自動販売機が倒れることがある。自動車の運転が困難となり、停止する車もある。
6弱立っていることが困難になる。固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。ドアが開かなくなることがある。壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある。
6強立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる。補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。
7立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある。壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる。補強されているブロック塀も破損するものがある。

[類語]地震地動ちどう余震揺り返し無感地震有感地震大地震だいじしん大地震おおじしん大震震災震央震源震源地微震軽震弱震中震強震烈震激震

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精選版 日本国語大辞典 「震度」の意味・読み・例文・類語

しん‐ど【震度】

  1. 〘 名詞 〙 ある場所での地震動の強さの程度を、計測震度計により観測したもの。かつては、人体の感覚や土地・家屋などへの影響の程度によって推定した。地震の規模・震源距離・観測地の地盤状況などによって左右される。気象庁震度階は、零度(無感)・一度(微震)・二度(軽震)・三度(弱震)・四度(中震)・五度(強震)・六度(烈震)・七度(激震)に分けられていたが、平成八年(一九九六)震度階級を〇~七とし、五と六についてはさらに「強・弱」の二段階に分けて、計一〇階級に改定。
    1. [初出の実例]「第一回の地震は左の如し〈略〉震度 弱 性質 緩(時計止る)」(出典:風俗画報‐三三八号(1906)漫録)

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改訂新版 世界大百科事典 「震度」の意味・わかりやすい解説

震度 (しんど)
seismic intensity

ある地点における地震動の強弱の程度を表す数値。地震そのものの規模を表すマグニチュードとは異なり,同じ地震でも地点が違えば震度は違う値になりうる。外国では1から12までの12階級のものを用いることがふつうで,その代表的なものは〈改正メルカリ震度階(MM震度階)〉(1931)である。また国際的に共用することをめざして〈MSK震度階〉(1963)が作られたが,あまり普及していない。日本の震度階は1884年に微・弱・強・烈の4階級のものを制定したのが初めで,98年に弱震を弱震(弱キ方)と弱震に,強震を強震(弱キ方)と強震に分け6階級とした。1936年に弱震(弱キ方)を軽震,強震(弱キ方)を中震と改称。49年に烈震を烈震と激震に分け,0(無感)から7(激震)までの8階級とし,長く用いられた。さらに96年には,震度5と6を5弱,5強,6弱,6強に分け10階級とし,軽震,強震などの地震動の強さの名称を廃止した(表)。

 従来地震の直後に気象庁が発表する震度は,各地の気象台,測候所の観測当番が人体感覚や周囲の物体の動き,被害などから判定していた。96年からは計測震度計を使い自動的に速報している。

 震度は地震動の振幅とは対応しない。地面が10cmの振幅で揺れても,周期が30秒ならば体感はないが,振幅が1mmでも周期が0.3秒ならば揺れを感じる。震度と比較的対応のよい物理量は地震動の加速度である。図は気象庁震度階級とMM震度階と加速度との対応を示しているが(ガルGalは加速度の単位で,1Gal=1cm/s2),この対応はごく大略のもので,最大加速度が150Galでも振動が長く続けば倒壊家屋が出る(震度6となる)だろうし,300Galでもごく短時間で終わってしまえば被害は出ない(震度4)こともある。震度は地震動の加速度,その周期,継続時間などの複雑な組合せによるものなので,器械によって測ることは不可能ではないとしても容易ではない。震度計というものも市販されているが,地震動の強さの一面だけを測っているので,その指示する値は地震動の性質によっては体感とはかなり違うことがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「震度」の意味・わかりやすい解説

震度
しんど

地震動の強弱を示す量。日本では気象庁の10階級の震度階級表が使われている。震度は0~7(5と6はそれぞれ強と弱に分けられる)の数字で示される。地震の震度は計測震度計によって自動的に計測され速報されるようになった。以前は地震動が人間の行動や物体に与える影響から決められていたが、1996年(平成8)4月からはこの計測震度計が採用されている。計測震度計による震度は計測震度とよばれ、小数点以下1桁(けた)で示す。これを四捨五入したものを震度階級という。震度階級表に示されている現象はあくまで参考のもので、この表によって震度を決めるものではない。2004年現在、震度観測点は気象庁で約600点、地方公共団体で約2840点などであり、後者のデータも震度情報として発表されている。

 震度は場所、震源からの距離、地盤の良否、建物の種類、居合わせた建物の階数によって大幅に異なる。震度は、地震の規模が大きいほど、震源に近いほど、そして地盤が悪くなるほど大となる。震度の等しい所を結んだ線(等震度線)は、震央を取り囲む円形に近い形になるのが基本である。しかし深発地震では、その形が東西に非対称になる。震源から遠い所の震度が近い所よりも強くなることは珍しくはない。また、東北日本の太平洋沖の地震では等震度線は南北に細長い形になる。マグニチュードを電灯のワット数とすると、震度は机の上の明るさルクスに相当する。

[宇佐美龍夫]

『気象庁監修『震度を知る 基礎知識とその活用』(1996・ぎょうせい)』

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百科事典マイペディア 「震度」の意味・わかりやすい解説

震度【しんど】

地震動の強さ。地震そのもの強さ(エネルギー)を表すマグニチュードとは異なる。身体の感覚,周囲の状況,被害によって震度をいくつかの階級に区別したものを震度階という。1949年制定の気象庁震度階は,次のように震度0から7までに分けられる。0無感地震。地震計には感ずるが人体には全く感じない。1微震。静止している人または地震に敏感な人にだけ感ずる。2軽震。一般の人びとが感じ,戸や障子がわずかに動く。3弱震。家屋が動揺し戸や障子が鳴動し,電灯のようなつり下げた物および器中の水面の動揺がわかる。4中震。家屋の動揺が激しく,すわりの悪い器物は倒れ,8分目にはいった水は器外にあふれ出る。人びとは戸外に飛び出す。5強震。家屋の壁に亀裂が生じ,墓石,石灯籠(いしどうろう)などは倒れ,煉瓦煙突,土蔵に破損を生ずる。6烈震。木造家屋の倒壊が30%以下で山崩れ,崖崩れなど多く,平地に亀裂を生ずる。7激震。木造家屋の30%以上が倒壊する。山崩れ,地割れ,断層が生ずる。この震度階は日本だけに通用するもので,マグニチュードとは異なり,国際的なものではない。また地震工学では,震度を加速度で表すため,地震動による水平加速度を重力加速度で割った比を考え,これを震度という。したがって,震度0.3といえば,重力加速度は約1000ガル弱であるから,およそ300ガルの水平加速度を受けるということ。建築基準法ではこの震度を用い,地域別・地盤別に,制限を設けて,耐震強度の統一を図っている。気象庁は1990年代から,地震動の周期・変位・速度・継続時間などを考慮した震度計を開発し,現在では震度計によって震度を決定している。また震度階級も1996年10月から5と6を強・弱に分けた10階級になった。
→関連項目地震有感地震

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「震度」の意味・わかりやすい解説

震度
しんど
seismic intensity

ある場所の地表のゆれ(地震動)の強さの程度。日本では 1884年,気象庁が観測を開始。人や建物に対する影響の大小によって区分され,地震計に記録されるが人体には感じられない程度を震度0(無感),静止している人や特に注意深い人にだけ感じる程度を震度I(微震),以下震度II(軽震),震度III(弱震),震度IV(中震),震度V(強震),震度VI(烈震)とし,家屋の倒壊が 30%以上に及び,山崩れ,地割れ,地表地震断層などを生じる場合を震度VII(激震)とした。1991年から震度計を設置し始め,それまでの体感および現地調査による観測から客観的かつ迅速な体制へと移行。1996年10月以降,計測震度を四捨五入して整数値としたアラビア数字の震度階級を使用するようになった。震度5は 5弱と 5強に,震度6は 6弱と 6強に分けられ,微震,軽震などの表現をなくした 10階級になった。アメリカ合衆国やヨーロッパでは 12階級の MM震度階(改正メルカリ震度階 modified Mercalli scale)が一般に使われる。また震度を国際的に統一するためにつくられたものに MSK震度階がある。なお,マグニチュード震源での規模を表す。

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知恵蔵 「震度」の解説

震度

ある場所での地震動の強さをいくつかの階級に分けて表す数値。1996年10月以降、気象庁の発表する震度はすべて、震度計によって測定された計測震度を四捨五入して、整数値に直したものとなった。ただし、震度5と6はそれぞれ、計測震度5.0および6.0を境に5弱、5強、6弱、6強に分割し、計測震度0.5未満はすべて0、6.5以上は7とし、全体で10階級としている。それぞれの震度に対してどのような現象が通常発生するかは、気象庁震度階級関連解説表に示されている(6弱以上で倒壊家屋が生じる)。震度を器械で計測するのは日本だけで、外国ではすべて人体感覚や被害の程度などから人が判定し、1から12までの改正メルカリ震度階か、それに準ずるものが多く使われている(9以上で倒壊家屋が生じる)。

(阿部勝征 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の震度の言及

【地震】より

…この揺れのことを地震動というが,一般には地震動のことも地震と呼んでいる。
[マグニチュードと震度]
 地震には,数百kmの範囲にわたって強い地震動をもたらし,大災害を生じるような巨大地震から,地震動は人体に感じられず,高感度の地震計だけが記録するような微小地震まで,大小さまざまなものがある。地震の大きさ(規模)はマグニチュードによって表示される。…

【マグニチュード】より

…小さいほうは-2くらいまで観測される。 マグニチュードの大きい地震ほど,震央付近の震度は高く,また広い範囲で感じられる傾向はあるが,震度はいろいろな条件に左右されるので,大きい地震のほうが必ず震度が高く,被害も大きくなるとは限らない。気象庁のマグニチュードでM8.0以上の浅い地震が内陸や沿岸部に起これば,広い範囲にわたって大災害が生じ,海底に起これば大津波が発生する。…

※「震度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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