人の死に際して葬家に贈る金品。香奠とも書く。普通、出棺日か通夜のときに持参する。近親者の贈るものと、近隣組内の人々の贈るものとがある。現在は香典袋に紙幣を入れて渡すのが一般であるが、金銭のほかに米、強飯(こわめし)、野菜、ろうそく、線香などを添える所もあり、金銭経済の発達する前は、飲食物だけを贈るものであった。近親の香典は死者とともに共同飲食するのが元の趣旨で、葬式が華やかなものになるにつれて、葬費を分担する意味をもつようになった。近隣組内からの香典は村落共同体の相互扶助的なもので、主として自分の食べ料を持ち寄った。香典はすべて香典帳に記録しておき、相互に義理を欠かさないようにする。香典の受付係を帳場という。本来、香典はお返しを期待しないものであったが、告別式に参列するだけで帰る人もあり、他の贈答の影響を受けて香典返しをする人が多くなった。四十九日前後に半額相当の物品を送るとか、葬儀の日に手渡す略式ですませたり、施設などに寄付する例もある。
[井之口章次]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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