《一般言語学講義》(読み)いっぱんげんごがくこうぎ

世界大百科事典(旧版)内の《一般言語学講義》の言及

【構造言語学】より


[ソシュールと構造言語学]
 近代における言語学のコペルニクス的転換の契機を作ったとされ,近代言語学の父とも呼ばれるF.deソシュールは若くしてインド・ヨーロッパ語比較文法の俊秀として令名があり,パリでA.メイエをはじめ多くの比較言語学者を育てたが,1891年から生れ故郷のジュネーブに移り,1913年に死ぬまで大学の教壇に立った。その死後16年になって弟子たちが筆記ノートを集めて彼の講義を復原し,師の名による《一般言語学講義》として出版した。ソシュールがホイットニーとボードゥアン・ド・クルトネおよびクルシェフスキの所説を評価していたのは事実であるが,この《講義》では新しい言語学の対象と方法がはるかに明快に,かつ正面切って提出されている。…

【ソシュール】より

…ジュネーブ大学教授(1891‐1913)。1907年,08‐09年,10‐11年の3回にわたって行われた〈一般言語学講義〉は,同名の題《一般言語学講義Cours de linguistique générale》(1916)のもとに弟子のC.バイイ,セシュエA.Sechehaye(1870‐1946)および協力者リードランジェA.Riedlingerの手によって死後出版されたが,この書を通して知られるソシュールの理論は,後年プラハ言語学派(音韻論)やコペンハーゲン言語学派(言理学)などに大きな影響を与え,構造主義言語学(構造言語学)の原点とみなされている。そのインパクトは言語学にとどまらず,文化人類学(レビ・ストロース),哲学(メルロー・ポンティ),文学(R.バルト),精神分析学(J.ラカン)といったさまざまな分野において継承発展され,20世紀人間諸科学の方法論とエピステモロジーにおける〈実体概念から関係概念へ〉というパラダイム変換を用意した。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」