《糧なき土地》(読み)かてなきとち

世界大百科事典(旧版)内の《糧なき土地》の言及

【ドキュメンタリー映画】より

… フランスのドキュメンタリーは,20年代に純粋な視覚的表現を意図した芸術運動である〈アバンギャルド映画〉と密接なかかわりをもっているが,アルベルト・カバルカンティの《時の外何物もなし》(1926)やジャン・エプスタンの《地の果て》(1929)などがつくられた。 オランダではヨリス・イベンスの《雨》(1929),スペインではルイス・ブニュエルの《糧なき土地》(1930),ベルギーではアンリ・ストルクの《無名兵士の物語》(1930)といった,今日〈名作〉として知られるドキュメンタリーがつくられている。
[戦中のドキュメンタリー]
 第2次大戦前後,各国がドキュメンタリーを政治的な宣伝や戦意昂揚のために利用したことはいうまでもない。…

【ブニュエル】より

…女性の腋毛(わきげ)が急になくなったかと思うと男の口のまわりにまとわりついたり,ピアノにロバの死骸が縛りつけられ,そのあとに2人の僧侶がつらなるといった〈超現実なイメージ〉の連続であるこの短編映画は,〈シュルレアリストの知的なエッセー〉と解釈されて大きな反響をよんだが,ブニュエル自身はこの作品が当時のパリのサロンでスノビズムとしてもてはやされたことに愕然(がくぜん)とし,〈じつは絶望であり殺人への情熱的な呼びかけにほかならぬものを,美しいとか詩的だとか思いこんだ度しがたい低能なスノッブども〉と毒づいて反発し,つづく《黄金時代》(1930)では,〈もはやスノッブなブルジョワどもに同化の機会を与えない〉ものをつくったという。 スペインにもどってウルデス地方の飢えと貧困を描いた短編ドキュメンタリー《糧なき土地》(1932)をつくったのちフランコ政権に追放され,33年から35年まで主としてパリでアメリカ映画のスペイン語版製作に従事し,またニュース映画を編集した《マドリッド36》(1937)などに協力する。38年,スペイン内戦の記録映画の技術顧問としてハリウッドに渡るが,内戦がフランコ側の勝利に終わって失職,ニューヨークの近代美術館でニュース映画を再編集した反ナチ映画をつくったり,アメリカ陸軍の宣伝映画をつくったり,44年から46年まではワーナー映画のスペイン語版製作にたずさわったりする。…

※「《糧なき土地》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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