《肉体の門》(小説)(読み)にくたいのもん

世界大百科事典(旧版)内の《肉体の門》(小説)の言及

【街娼】より

…街娼には他の売春婦のような前借金もなく自由に営業できるようにみえるが,出没圏の確保や客の暴力排除などを自衛する必要から,仲間的集団をつくってなわ張りをもち個人的には〈ひも〉をもつことが多かった。田村泰次郎の《肉体の門》など,そうした街娼の生きざまを描いた小説も少なくない。その間に暴力団が介在することも多く,麻薬や覚醒剤との関連も深い。…

【田村泰次郎】より

…36年武田麟太郎らの《人民文庫》に参加,《大学》を連載したが,40年応召,中国各地を転戦し敗戦後の46年帰還。以後,《肉体の悪魔》(1946),《肉体の門》《春婦伝》(ともに1947)などやつぎばやに話題作を書き,一躍流行作家になる。とくに《肉体の門》は,肉体の解放こそ人間の解放であり,肉体が思考するとき真の人間性の確立もあるとする彼の主張の実践で,パンパンと呼ばれる街娼の出現した戦後の都市の新風俗を描いた力作だったが,その後はしだいに安易な〈肉体文学〉へと堕していった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」