《蛙》(アリストファネス)(読み)かえる

世界大百科事典(旧版)内の《蛙》(アリストファネス)の言及

【アリストファネス】より

…そして,このアッティカ古喜劇という世界の文学史のなかできわめて特異な場所を占める文芸分野の完成者であり,またその死の証人でもある。彼の創作した喜劇は,20歳前の作と伝えられる《宴の人々(ダイタレス)》(前427)から,《福の神(プルトス)》(前388)に至るまで44編に及ぶと伝えられているが,そのうちの11編,すなわち《アカルナイの人々》(前425),《騎士》(前424),《》(前423),《蜂》(前422),《平和》(前421),《》(前414),《女の平和》《テスモフォリアを祝う女たち》(ともに前411),《蛙》(前405),《女の議会》(前392),《福の神》はほぼ完全な形で残っており,そのすべては邦訳によっても読むことができる。 民会,将軍,煽動政治家,戦争,平和条約等の高度に現実的な問題や状況を舞台に乗せ,そこに登場したひとりの,現実的な意味では無力のアテナイ市民(典型的には,ペロポネソス戦争によって耕地を荒らされ最も大きな被害を受けている郊外の農民)が,個人に残されている最後の力であるところの想像力,表現の力によって現実を逆にひざまずかせるというのが,アリストファネスないしはアッティカ古喜劇の独自の世界である。…

※「《蛙》(アリストファネス)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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