イタリア式額縁舞台(読み)いたりあしきがくぶちぶたい

世界大百科事典(旧版)内のイタリア式額縁舞台の言及

【演劇】より

… これら常設劇場の出現で注目すべきことは,一方ではそれが文学戯曲の成立・完成による,言葉を中心とした演者・観客双方における新しい集中の仕方の優位と不可分であること,しかも他方では,オペラやバレエといった舞台機構の技術的洗練による大スペクタクルの実現と演劇内部へのその統合という,視聴覚両面における総合的幻想快楽の追求を可能にする事件でもあったことである。ヨーロッパに固有のこのような演劇内の分化を生んだ対面型舞台を,通常〈イタリア式額縁舞台〉と呼ぶが,それは舞台上の虚構空間を,遠近法の活用によって〈魔法の箱〉として閉じ込めることであったから,やがては第四の壁を通して密室を覗くという19世紀写実主義演劇の〈覗き〉の視角を生むことになる。また,対面型といっても客席は多くの場合馬蹄形に配された桟敷をもち,貴顕の席は前桟敷のような最も目につくところにあり,観客席自体が社会の階層構造を奇妙に反映するスペクタクルとなるのであった。…

※「イタリア式額縁舞台」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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