ヘスペロネシア語派(読み)へすぺろねしあごは

世界大百科事典(旧版)内のヘスペロネシア語派の言及

【アウストロネシア語系諸族】より

… アウストロネシア語系諸族の初期の移動とその考古学的痕跡については,まだ十分に明らかではないが,台湾における縄蓆文(じようせきもん)土器文化は,今日のアタヤル語の祖先に当たるある初期アウストロネシア語と結びつき,年代は前4000年あるいはそれよりさらに前にさかのぼるという説もある。台湾から南にフィリピンに出,そこからインドネシアにひろがったのはヘスペロネシア語派で,新石器時代のうちに西部インドネシアにまでひろがり,そのなかから紀元前後ごろにインド洋をこえてマダガスカルにもその話し手が住みつくようになってきた。アウトリッガー(浮木)つきのカヌー,稲作,ピストン型のマレー式韛(ふいご)による鍛冶技術などがアウストロネシア語とともにインドネシアからマダガスカルにひろがった。…

【アウストロネシア語族】より

…正確な言語数は不明だが,おそらく800~1000にのぼるものと推定され,言語数と地域的広がりの点では世界最大の語族である。
[分類と故地]
 アウストロネシア語族は,通常,大別して西部語派(インドネシア語派あるいはヘスペロネシア語派ともいう)と東部語派(オセアニア語派ともいう)の二つに分類されるが,台湾の高山族諸語をそれらに対立する第3の語派と認めるか否か,そして西部語派と東部語派の地理的な境界線は西イリアンのどのあたりにあるのか,についてはいまだに議論が多く,結論を得るにいたっていない。古くはアウストロネシア語族をインドネシア語派,メラネシア語派,ポリネシア語派に三大別する学者もいたが,現在では後2者は東部語派の下位区分にすぎないものと考えられている。…

【インドネシア語派】より

アウストロネシア語族のうちの西部に行われる諸言語で,現在では,東部語派(オセアニア語派)に対して西部語派Western Austronesian,あるいはヘスペロネシア語派Hesperonesianと呼ばれることが多い。インドネシアを中心に,北は台湾から南はロティ島,西はマダガスカル島から東は西イリアンの中央付近までに分布する諸言語の総称だが,東部語派との境界がどこにあるかは,調査不十分な言語も多いためまだ明らかでない。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」