一文字ぜき(読み)いちもんじぜき

世界大百科事典(旧版)内の一文字ぜきの言及

【灌漑】より

…溜池も大規模なものは国普請の場合もあったが,多くは池下の負担になる場合が多かった。せきの形式にも一文字ぜき(河身に対し直角の方向に築く),箕(み)の手ぜき(河身に対し斜めに),袋ぜき(中央部を下流へたるませて流水とともにたまる砂をこの部分に支える)などの諸形式があるが,出水時の破壊が難点であり,溜池も出水時の堤の破壊,貯水取入れのための流入河川の水とともに生ずる池底の滞留した土砂による埋没や深度(貯水量)の減少などが,その利用が多年にわたれば免れえない難点であった。また,せきからの引水の場合,幕領あるいは幕閣の要路を占める領主の所領であった村などが,多年の保護で,他村を圧倒して,とくに有利な引水権を多年行使していた場合もあった。…

【せき(堰)】より

…【佐原 眞】 江戸期のせきは農業用水の取得のためのものがほとんどであり,《県令須知》によれば草ぜきと洗いぜきに大別しうる。さらに細かく一文字ぜき,箕(み)の手ぜき,袋ぜきと,川の流れの主方向とこれに対するせきの角度による分類も行われた。一文字ぜきは字のごとく水流の方向と直角に対岸まで1直線に築く形で,大河を受けて築く場合に多いが,堤の延長が短くてすむ反面,出水に際して崩壊,流失の危険も多い。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」