喰摘み(読み)くいつみ

世界大百科事典(旧版)内の喰摘みの言及

【年始】より

…四国などには,元日の朝早く分家一同が本家の表戸を開けに行く門開きと呼ばれる習俗も残されており,こうした一族の行事が地縁その他に拡張され,村年始といった全戸を回礼する習俗や,また都市にいたっては商家の顧客回りや職場の上司への年始,さらには訪問をいっさい欠いた年賀状の発達などに進展していったものと思われる。なお,年始客の接待に喰摘み,手掛けなどといい,三方にあしらった食物を出し食べるまねをさせる習俗があるが,これもこうした本来の神人共食が形式化したものである。【岩本 通弥】。…

【もてなし】より

…客人に飲食や宿舎を与えてもてなす風習はほとんどあらゆる社会にみられるが,国家の権威が人心にいまだ十分浸透していない段階では,こうしたもてなしは,近代社会における場合とは比較にならぬほど大きな意義をもっている。 まず,そのような社会では,訪れる客のもてなしは個人の自由裁量にゆだねられるものではなく,一般に家や親族集団を単位として行われる社会的義務とみなされている。ホメロスの《イーリアス》の中に,敵対する2人の戦士が,互いの先祖がもてなしによって結ばれた関係にあることを知ると,ただちに戦いをやめるという有名なエピソードがあるが(詳しくは後述),それなどはホメロスの時代のギリシアにおいて,もてなしの紐帯(ちゆうたい)が〈相続〉されるものであったことを物語るものであろう。…

※「喰摘み」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」