塩梅(料理)(読み)あんばい

世界大百科事典(旧版)内の塩梅(料理)の言及

【ウメ(梅)】より

…【中村 恒雄】
【文化史】

[中国]
 中国において,ウメが早春の花として観賞され,詩歌の題材とされるようになったのは後世のことで,古くはその果実に関心があり,スモモ,アンズ,モモなどとともに野生の実が採取され,また《詩経》国風の〈摽有梅〉の詩に歌われたように,春の歌垣(うたがき)に際し,男女がウメの実を投げて配偶者を求め,また愛情のあかしとして贈答する風習があった。果実は保存食となり,またその酸味が調味料として用いられたので〈塩梅(あんばい)〉の語もある。熟れかけの実を籠に盛り,煙突の煙でいぶして薫製にしたものを〈烏梅〉として薬用にする。…

【梅酢】より

…酸味の主体はクエン酸である。《和名抄》には塩梅(えんばい)を〈梅酢也〉としており,この塩梅がやがて〈あんばい〉と読まれて味かげんを意味するようになった。梅酢はそれほど重要な調味料であったといえよう。…

【塩】より

…ザルツブルク(ドイツ語で〈塩の町〉)の塩坑に投じられた小枝がつける美しい塩の結晶を,恋愛心理(結晶作用cristallisation)と結びつけた個所は,比類のないイメージをわれわれに喚起してやまない。【有田 忠郎】
[中国]
 味かげんを意味する塩梅(あんばい)の語が《書経》にみえ,〈酒は百薬の長〉という有名なことばの対句に〈塩は食肴(しよくこう)の将〉と《漢書》で使われるように,中国でも塩は当然民族の歴史とともに古く,またきわめて重要視されてきた。黄河文明が発生した地域には山西省の大塩池があり,これを握ることが権力者の一条件で,〈禹貢(うこう)〉が冀(き)州(山西)を帝都とし,周や秦がそこに近い陝西を根拠とするのも当然であった。…

【中国料理】より

…醬(ひしお),豉(くき),酢などの調味料のなかでも,もっとも大事な調味料は塩であった。たとえばわれわれが今日でも日常に使う〈塩梅(あんばい)〉の語は,古く〈鹹塩と酸梅〉の調味,あるいは調味をととのえる意,そして国政を治める宰相の意に引伸した(《書経》)ことからも,そのことはうかがえる。香辛料に木桂,山椒,薑,蓼などが見られる。…

※「塩梅(料理)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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