新乳(読み)あらちち

世界大百科事典(旧版)内の新乳の言及

【乳】より

…成分の異なる他の哺乳類の乳汁(おもに牛乳ではあるが)は,雑食が可能になってから与えられるべき食品である。牛乳人工栄養【沢田 啓司】
【文化史】
 日本にはかつて,出産直後の母乳である初乳を〈新乳(あらちち)〉といって捨て,かわりに他の乳児の母親から乳をもらう〈乳合せ〉という風習があったが,感染の機会にもなるので,〈乳合せ〉には通過儀礼としての社会的意義はあるとしても,医学的には有害無益である。J.J.ルソーは乳母(うば)にゆだねずに子を母乳で育ててこそ,親子と夫婦のきずなが固くなり,家庭生活が魅力あるものになると強調した。…

【乳つけ】より

…またカニババ(胎便)が出るまでは授乳せず,砂糖水,番茶などを綿にふくませて吸わせた。最初の母乳はアラチチ(新乳)といって,よくないとして与えず,また母乳の出も悪いので,生後2日間くらいは他人の乳を用いる風習が昭和10年ころまでひろく行われていた。生児が男なら女児をもつ人,女なら男児をもつ人にたのむ場合が多く,チアワセ(乳合せ),アイチチなどとよんでいる。…

※「新乳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」