《アクセルの城》(読み)あくせるのしろ

世界大百科事典(旧版)内の《アクセルの城》の言及

【ウィルソン】より

…法律家の父の周到公平な仕事ぶりを受けつぎ,読みの深さと巨視的な把握を身上として,フロイトやマルクスを援用してもつねに特定の思想を超えて対象の本質に迫る。象徴主義批判の書《アクセルの城》(1931)が逆に象徴主義,ひいては20年代文学の先駆的味解の書たりえたゆえんである。書評を主軸とする《古典と商品文学》(1950),《光の岸辺》(1952),《わが歯間の馬銜(はみ)》(1965)の3巻の文学的年代記,社会主義の起源と歴史を劇的に構成した《フィンランド駅へ》(1940)や南北戦争時代の膨大な秘録を渉猟した警世の証言集《愛国の流血》(1962)などの長編評論,《傷と弓》(1941),《ロシアへの窓》(1972)などの文学論集,そのほか小説,戯曲,旅行記,自伝的散文など,いずれも〈最後の文人〉にふさわしい文体の成熟を誇っている。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」