《ゲマインシャフトとゲゼルシャフト》(読み)げまいんしゃふととげぜるしゃふと

世界大百科事典(旧版)内の《ゲマインシャフトとゲゼルシャフト》の言及

【契約】より


[契約行為と社会関係]
 イギリスの歴史法学者H.J.S.メーンは《古代法》(1861)において〈身分から契約へ〉という社会進化の図式を提示し,父権制社会の中で身分的に拘束されていた人間が解放される過程をえがいた。このメーンの書物のドイツ語版(1880)に影響を受けたドイツの社会学者F.テンニースは《ゲマインシャフトとゲゼルシャフト》(1887)において,法律的行為としての契約が合理的な法律関係の特質を示すと同時に,あらゆる合理的な社会関係の表現でもあることを説いた。彼はゲゼルシャフト(利益社会)や国家が個々人の自由意思にもとづく契約から成り立つとし,〈契約とは,ゲゼルシャフト的行為としての交換において,ある一点で交わる二つの相異なる個別的意思の合致である〉と定義づけている。…

【ゲマインシャフト】より

…共同社会あるいは基礎社会と訳されるが,語の構成からは〈共通あるいは共同していること〉で,この意味で使われることも多い。テンニースの著書《ゲマインシャフトとゲゼルシャフトGemeinschaft und Gesellschaft》(1887)でゲゼルシャフトGesellschaft(利益社会あるいは派生社会と訳される)と対比しつつ,純粋社会学の根本概念とされた。テンニースは人間の共同生活における集合形式,関係形象,規範,価値の研究を社会学としたが,実在的・自然的な本質意思Wesenwilleと観念的・作為的な選択意思Kürwilleとを区別し,前者にゲマインシャフト,後者にゲゼルシャフトという集団類型をたてた。…

【テンニース】より

…32‐33年にナチズムと反ユダヤ主義を公然と非難したため,キール大学名誉教授の地位を奪われ,〈私の希望を民族的労働者運動の国際性にのみ見る〉と記した。 社会学での彼の主著《ゲマインシャフトとゲゼルシャフト》(1887)の草稿は,1881年キール大学私講師となったときの資格取得論文であるが,ひろく社会諸科学に大きく影響した(ゲマインシャフト)。彼はあらゆる社会的相互作用や集団を人間の思考と意思とがつくったものとして考え,これら社会的実在態を社会的集合体Samtschaft,社会団体Körperschaftおよび社会関係Verhältnisseに大別し,目的および手段と意思とのかかわり方から,自然的な本質意思Wesenwilleと選択意思Kürwilleという二つの意思類型を区別したのはよく知られている。…

※「《ゲマインシャフトとゲゼルシャフト》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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