世界大百科事典(旧版)内の《テーバイス》の言及
【スタティウス】より
…博学にして情愛の深い人であった。作品中,オイディプス王の2子の王位争いに取材した叙事詩《テーバイス(テーバイ物語)》12巻,英雄アキレウスの生涯を扱った未完の叙事詩《アキレイス》2巻,祝婚歌,送別歌など題を得て作詩した即興詩集《シルウァエ》5巻が伝わる。《テーバイス》は劇的な叙述に優れるが構成に弱点がある。…
【ホメロス】より
…なお,ホメロスを盲目の詩人とする巷説は,《ホメロス風賛歌》中の〈アポロン賛歌〉にある〈峨々たるキオスに住む盲(めしい)の人〉という作者自身への言及に由来するもので,ヘレニズム時代以降のホメロスの胸像等はつねに彼を盲目の老人で表現している。 最後に作品については,古くは二大叙事詩のほかにも,〈叙事詩圏〉中の《テーバイス》《エピゴノイ》《キュプリア》や,滑稽詩《マルギテス》(これらはいずれも断片しか伝わらない),約300行の《蛙鼠(あそ)合戦》,長短30数編の《ホメロス風賛歌》などが彼に帰されていたが,今日では,《イーリアス》《オデュッセイア》以外はいずれもホメロスの作にあらずと判断されている。
[ホメロス問題]
このようにホメロスに関する伝承があいまいであるにもかかわらず,少なくとも《イーリアス》と《オデュッセイア》に関するかぎり,古代人はそれがホメロスの作たることを信じて疑わず,《オデュッセイア》はホメロスとは別人の作と唱えて〈分離派〉と呼ばれたアレクサンドリアの一部の学者の声などは,まったくの例外にすぎなかった。…
※「《テーバイス》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」