世界大百科事典(旧版)内の《ファウスト》の言及
【カーリダーサ】より
…ゲーテがその独訳を読んで賛辞を述べたことはよく知られている。彼は《ファウスト》の序曲の構想を《シャクンタラー》の序幕から得たといわれる。 カーリダーサの戯曲作品としては,そのほかに,天女ウルバシーとプルーラバスとの恋愛を主題とする,5幕よりなる《ビクラマ・ウルバシーヤ》と,アグニミトラ王とビダルバ国の王女マーラビカーとの恋愛を主題とする,5幕よりなる《マーラビカーとアグニミトラ》とがあり,それぞれ傑作とされている。…
【転身物語】より
…チョーサー,シェークスピア,ゲーテ等後世の偉大な詩人にとって《転身物語》は愛読書の一つであった。とくにゲーテは,美しい愛の物語の主人公フィレモンとバウキスを《ファウスト》第2部で登場させている。また,ルネサンス以降はいわば〈古代ギリシア・ローマ神話事典〉として利用されるかたわら,多くの画家に題材を豊富に提供した。…
【ドイツ文学】より
…木下杢太郎がこれをひき継ぎ,その世紀末的土壌の上に〈パンの会〉や〈スバル〉などの耽美的情調の文学が日本に開花した。また森鷗外によるゲーテの《ファウスト》の完訳(1913)は,日本の読者にドイツ文学の代表作を提供するものとなった。生田長江の《ツァラトゥストラ》訳(1911)をはじめとするニーチェの翻訳紹介も大きな反響をよびおこし,とりわけ萩原朔太郎にその影響が認められる。…
【人形劇】より
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[近・現代の人形劇]
18世紀後半から20世紀初めへかけて,多くの芸術家が人形劇を愛した。最も有名なのは,J.W.ゲーテの戯曲《ファウスト》が古い人形劇の《ドクトル・ファウスト》から生まれたことだ。ゲーテは祖母からマリオネットを贈られ,4歳のとき《ダビデと巨人ゴリアテ》を見た。…
【ファウスト】より
…16世紀初頭のドイツに出現し,やがて伝説上の主人公となった魔術師。伝説の上では,ヨハネス(ヨハン)・ファウストJohannes Faustとして登場するが,実在のファウストのほうの名は,ゲオルクだったといわれる。ゲオルク・ファウストGeorg Faustは,1480年ころに生まれ,ハイデルベルクなどで神学を学び,各地を遍歴,ルネサンス期の自然哲学の知識を身につけ,人文主義者と交わった。…
【メフィストフェレス】より
…ゲーテの《ファウスト》に登場する悪魔。メフィストと略称される。…
【ワルプルギスの夜】より
…ドイツの民間伝承で五月祭(5月1日)の前夜をいう。この夜,魔女たちの集会(サバト)がハルツ山地の最高峰ブロッケン山で開かれ,魔王を囲んでの乱痴気騒ぎが繰り広げられるとされ,とくにゲーテ《ファウスト》における描写で有名である。その名は,ボニファティウスのドイツ伝道に従ったイングランドの修道女ワルブルガWalburga(?‐780ころ)に由来する。…
※「《ファウスト》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」