《ユダヤ人問題によせて》(読み)ゆだやじんもんだいによせて

世界大百科事典(旧版)内の《ユダヤ人問題によせて》の言及

【ユダヤ人】より

…こうしてシオニズムは,ヨーロッパ社会がその胎内から生み出したユダヤ人問題になんらかの解決を見いだすというよりは,未解決のまま問題をヨーロッパ以外の地域に輸出することにより,むしろこれを拡大し複雑化してしまったといえる。
[マルクス主義とユダヤ人]
 ユダヤ教徒解放をめぐる論議に触発されて《ユダヤ人問題によせて》を著したマルクスは〈ユダヤ教徒の社会的解放はユダヤ教からの社会の解放である〉という論理を提示し,やがてそこからプロレタリアートの解放こそが普遍的・人間的解放であるとの立場に移行することになる。そこでは,ヨーロッパ啓蒙思想に内在し,ヘーゲル左派のB.バウアーによって明示されたユダヤ教徒解放否定の論理,すなわちキリスト教より低い発展段階にあるユダヤ教徒はそのままではついに解放されえないし,解放されうるとすれば彼らのキリスト教徒への改宗を通じてであるという議論はなお完全に克服されるにはいたっていない。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」