《ロンドンの商人》(読み)ろんどんのしょうにん

世界大百科事典(旧版)内の《ロンドンの商人》の言及

【イギリス演劇】より


[18世紀]
 この時代には劇がさらに大衆化した。1731年初演のG.リロの《ロンドンの商人》はイギリス最初の市民悲劇とされるが,ブルジョアを悲劇の主人公としたことや原則として散文で悲劇を書いたことは確かに画期的だった。喜劇も王政復古期の風習喜劇から教訓的な感傷喜劇に変わっていたが,この変化の根底には劇に実用性を求める中産階級の好みがあった。…

【市民劇】より

…18世紀になって第三階級である市民階級が勃興し,みずからの力を自覚すると,喜劇以外の劇のなかでも,市民が主人公になることを望むようになった。1731年にイギリスのG.リロの書いた《ロンドンの商人》は,女性に惑わされて罪を犯し,処刑される市民を主人公にした,最初の市民悲劇であり,そのなかには商人の階級的自覚を示すせりふも認められる。18世紀はまた感傷趣味の強い時代で,人間の悪徳を嘲笑する喜劇よりも,人間の不幸に同情して涙することが良い趣味だと考えられ,劇のジャンルを峻別することを好むフランスでは,市民生活を扱い,同情を催すような哀しい内容をもつが,悲劇的結果だけは避けてハッピー・エンドとする戯曲が登場した。…

【悲劇】より

…ここに悲劇の崩壊の萌芽が認められる。
[悲劇の変質]
 G.リロの《ロンドンの商人》(1731初演)は,イギリス演劇史では画期的な作品であった。これは貴族や英雄ではなくてブルジョアを主人公とし,韻文ではなくて散文のせりふを多く含みながら,悲劇と銘打たれていたからである。…

【リロ】より

…イギリスの劇作家。《ロンドンの商人》(1731),《命取りの好奇心》(1736)などの家庭悲劇の作者として知られる。ことに前者は,貴族ではなくブルジョアを登場人物とし,大部分のせりふが韻文ではなく散文で書かれている点で,イギリス最初の市民悲劇とされ,現代の評価は低いが演劇史的には画期的な作品であった。…

※「《ロンドンの商人》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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