《万人の馬車》(読み)ばんにんのばしゃ

世界大百科事典(旧版)内の《万人の馬車》の言及

【デ・アミーチス】より

…善と悪,強者と弱者のあまりに類型的な書き分け,祖国と軍隊への手放しの賛美など,独立,国家統一を達成してまだ日の浅いイタリア社会の支配的なイデオロギーをなんの批判もなく打ち出すという問題点をはらみながら,《クオーレ》は世界中で人気を博した。さらにイタリア人移民や教育問題をテーマに扱ったものや,苦しみにひしがれた人間群像を描く《万人の馬車》(1899)などを発表し,晩年には社会主義に接近した。軍人・愛国者,人道的作家・社会主義者と,デ・アミーチスのたどった道程は,19世紀イタリアの知的進路の縮図であったといえる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」