世界大百科事典(旧版)内の《園遊会》の言及
【心理小説】より
… しかし,元来人間の心の動きは不定形で流動的で矛盾に満ちたものであるから,概念化できない要素をそぎ落としてしまう分析的言語によらずに,もっと直接的に心理を描写しようとする作家も多く,18世紀以来の英米文学にこの傾向が著しい。K.マンスフィールドは《園遊会》(1922)で印象派風の心理の点描法を試み,ジョイスは《ユリシーズ》(1922)で〈意識の流れ〉や〈内的独白〉の手法を創始した。ポーの諸短編が素描した〈あまのじゃく〉の心理は,ロシアのドストエフスキーによって無意識の深淵にまで追求され,心理分析小説の前提である古典力学的決定論を完全に無効にした。…
【マンスフィールド】より
…1912年文学青年の貧しいオックスフォード大学生J.M.マリーと同棲(正式結婚は1918年)。彼の編集する《リズム》誌や《アシニアム》誌に,鋭いがきわめて主観的なエッセー,書評を載せるかたわら,《序曲》(1918),《幸福》(1920),《園遊会》(1922),《鳩の巣》(1923)などの短編集を続々発表。なかでも《序曲》などの,幼時経験を心の動きそのままに語る鮮烈,透明な作品群が最も優れている。…
※「《園遊会》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」