《崇高について》(読み)すうこうについて

世界大百科事典(旧版)内の《崇高について》の言及

【ギリシア文学】より

…ディオニュシオスやディデュモスの盛んな文筆活動は,一見ただ学問上の貢献にとどまるかのごときであるけれども,この広大な地中海世界の知的覇者となるに至ったギリシア語,そしてギリシア文学とは,どのようなものであるのか――いわばギリシア文化の総体を広く世界の人々に知らしめる強い願望に根ざしていた。アウグストゥス帝の時代に著された作者不詳の(ロンギヌス作と誤伝されている)《崇高について》と題する小論文も,かつてギリシア文学の代表的な担い手たちが目ざしてきたものを一つの理念としてとらえて,これを〈崇高〉という概念でとらえ,これを語り明かそうとしている。ギリシア・ローマの歴史を一つの偉大な人類の体験として眺観する視点を掲げているのはまた,カイロネイアの人プルタルコスである。…

【崇高】より

…古来論議の多い美的範疇の一つ。古代においてギリシア語hypsos(高さ)の意義はさまざま論じられ,《崇高について》(作者はロンギノスに擬せられるが別人。1世紀ごろの著作)では魂を高揚させる価値にまで深められた。…

【ロンギノス】より

…新プラトン主義哲学を信奉し,著作として《修辞学》が伝存する。アウグストゥス帝時代に現れた《崇高について》と題する高名な文芸論は,誤ってロンギノスの作として伝えられているが,実はまったく別人(姓名不詳)の筆になるもの。【久保 正彰】。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」