《弁証法の冒険》(読み)べんしょうほうのぼうけん

世界大百科事典(旧版)内の《弁証法の冒険》の言及

【メルロー・ポンティ】より

…初期,中期を通じて彼が〈現象学〉を心理学,社会学,言語学など人間諸科学や,社会,政治思想,芸術などの進歩と歩みをともにし,その成果を統合してゆく〈開かれた哲学〉としてとらえ,現象学の展開に新たな可能性を約束したこと,また中期の彼がおのれ自身の初期の実存主義を内的に乗り越えることによって,60年代以降の構造主義やポスト構造主義を準備したことは,注目されてよい。 この間1955年に公刊された《弁証法の冒険》においてメルロー・ポンティは,M.ウェーバーの歴史哲学を継承発展させたルカーチの《歴史と階級意識》(1923)に見られるマルクス主義の新たなとらえなおし,つまり〈西欧マルクス主義〉に真の歴史の弁証法の復権を認めて,これを高く評価し,それに対立する〈ロシア・マルクス主義〉,ことに当時のソ連の共産主義に見られる革命の変質と弁証法を喪失した極端な客観主義への移行を厳しく批判した。それとともに彼はここで,サルトルの極端な主観主義の哲学にも同じような弁証法の喪失を認め,これに鋭い批判をくわえたため,両者の決裂は決定的になった。…

※「《弁証法の冒険》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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