《悲母観音》(読み)ひぼかんのん

世界大百科事典(旧版)内の《悲母観音》の言及

【狩野芳崖】より

…狩野派の懸腕直筆の描線と雪舟画のもつ古典的な気魄のこもった空間表現の上に合理的な写実性を加えた《谿間雄飛》(ボストン美術館)を発表,ついで色彩に開眼し,パリから取り寄せたカーマイン系の赤やコバルト,ピンク等を使用した《仁王捉鬼》が第2回鑑画会一等賞を得,フェノロサらの新日本画創造の道を開く鑑画会の先頭に立つに至った。ついで洋風の陰影法や空気遠近法的手法をとり入れた《不動明王》を経て,近代日本画の原点となる《悲母観音像》の制作に取り組んだ。画題,構図は中国の仏画に拠ったものの,解剖学的人体の研究をもとに,描線に柔軟性と写実性を加え,彩色に胡粉(白色)を混ぜることによって中間色的色相を豊かにし,外光派的感覚をとり入れるなど,多くの試みを残したが,〈後3日あれば〉の言葉をのこして他界した。…

※「《悲母観音》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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