《戦争と貞操》(読み)せんそうとていそう

世界大百科事典(旧版)内の《戦争と貞操》の言及

【戦争映画】より

…サイレント映画の初期からすでに戦争を描いた映画はつくられていたが,いわゆる〈戦争映画〉が映画史を大きく彩るのは二度にわたる世界大戦をへてからで,以後,朝鮮戦争,ベトナム戦争,中東戦争などをへて現在に至るまで,資本主義国でも社会主義国でも,戦争あるいは侵略主義を正当化して戦意高揚を意図した戦争映画が,スペクタクルからメロドラマに至るまでいろいろな形でつくられてきており,たとえば《グリーンベレー》(1968)がアメリカ本国でも酷評されたように,戦争の真実を描いたと称する好戦的映画の多くは人類の平和という原点から批判され,逆に反戦映画が真の戦争映画として評価を受けることになる。したがって,戦争映画の古典や名作とされている作品は,トマス・H.インス(1882‐1924)監督の《シヴィリゼーション》(1916)やチャップリンの《担え銃》(1918)から,キング・ビダー監督《ビッグ・パレード》(1927),ルイス・マイルストン監督《西部戦線異状なし》(1930),G.W.パプスト監督《西部戦線一九一八年》(1930),ジャン・ルノアール監督《大いなる幻影》(1937),田坂具隆監督《五人の斥候兵》(1938),《チャップリンの独裁者》(1940),木下恵介監督《陸軍》(1944),ロベルト・ロッセリーニ監督《戦火のかなた》(1946),ソ連の〈雪どけ〉の映画として知られるミハイル・カラトーゾフ監督《戦争と貞操》(1957),スタンリー・キューブリック監督《突撃》(1957),デビッド・リーン監督《戦場にかける橋》(1957),アンドレイ・タルコフスキー監督《僕の村は戦場だった》(1962),ジッロ・ポンテコルボ監督《アルジェの戦い》(1967),ドルトン・トランボ監督《ジョニーは戦場に行った》(1971)等々に至るまで,人道主義的戦争批判の道にそって反戦平和を訴える点で共通しており,まさにその意味で〈戦争映画〉として正当な評価を受けているといえよう。【柏倉 昌美】。…

※「《戦争と貞操》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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