《支那思想と日本》(読み)しなしそうとにほん

世界大百科事典(旧版)内の《支那思想と日本》の言及

【津田事件】より

…事件の発端は,蓑田胸喜を中心として,権力中枢と結びついて国粋主義の宣伝をしていた原理日本社とその機関誌〈《原理日本》〉が津田に加えた攻撃であった。津田の〈《支那思想と日本》〉(1938)が発表されたころから,蓑田らは,ヨーロッパが一つの文化だというのと同じ意味での東洋文化は歴史的に存在しなかったという論旨を,〈東洋抹殺論〉の提唱だとして非難していた。その非難を決定づけたのが,かねて〈天皇機関説の本山〉として彼らに排撃されていた東京帝大法学部に39年10月新設された東洋政治思想史講座の初講義を,南原繁の懇請に応じて講師として担当したことであった。…

【津田左右吉】より

…明治維新研究を生涯の課題とし,合理的思考方法に基づく日本,中国の思想史研究で,日本文化の特質を究明した独創的体系を築く。とくに《文学に現はれたる我が国民思想の研究》(全4巻,1916‐21)は,〈生活〉本位の視点で〈国民思想〉の史的展開を論じた雄編であり,《支那思想と日本》(1938)では〈東洋文化〉の有機的一体性を否定し注目された。さらに《神代史の研究》《古事記及日本書紀の研究》(ともに1924)など一連の古代史研究は,厳密な文献批判によって記紀の成立過程を論証した画期的業績であったが,出版法違反に問われ,1942年有罪とされた(津田事件)。…

※「《支那思想と日本》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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