《文学に現はれたる我が国民思想の研究》(読み)ぶんがくにあらわれたるわがこくみんしそうのけんきゅう

世界大百科事典(旧版)内の《文学に現はれたる我が国民思想の研究》の言及

【津田左右吉】より

…明治維新研究を生涯の課題とし,合理的思考方法に基づく日本,中国の思想史研究で,日本文化の特質を究明した独創的体系を築く。とくに《文学に現はれたる我が国民思想の研究》(全4巻,1916‐21)は,〈生活〉本位の視点で〈国民思想〉の史的展開を論じた雄編であり,《支那思想と日本》(1938)では〈東洋文化〉の有機的一体性を否定し注目された。さらに《神代史の研究》《古事記及日本書紀の研究》(ともに1924)など一連の古代史研究は,厳密な文献批判によって記紀の成立過程を論証した画期的業績であったが,出版法違反に問われ,1942年有罪とされた(津田事件)。…

【日本文学】より

…さらに大正期には国文学外の領域から,日本文学へのさまざまな学問的接近が行われた。史学者津田左右吉の《文学に現はれたる我が国民思想の研究》4冊(1916‐21)は,社会的・歴史的観点による日本文学の総体的把握として画期をなし,その《古事記及び日本書紀の新研究》(1919)は厳密な本文批判にたって,記紀研究を旧来の神学的解釈から解放するものとなった。また英文学者土居光知の《文学序説》(1922),哲学者和辻哲郎の《日本精神史研究》正続(1926,1935)にみられる幅広い視野からの照明,哲学者阿部次郎の《徳川時代の芸術と社会》(1931)での西鶴,近松への斬新な理解等々は,いずれも日本文学に世界の風を吹きこむ役割を果たした。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」