《有りがたうさん》(読み)ありがとうさん

世界大百科事典(旧版)内の《有りがたうさん》の言及

【清水宏】より

…〈映画から極力舞台的な芝居を除きたい〉という〈実写的精神〉に基づく映画作法で,坪田譲治原作の《風の中の子供》《子供の四季》から,敗戦後,みずから世話をしていた戦災孤児たちを主人公に,カメラマン,助監督以外はすべて素人のスタッフとキャストで自主製作した《蜂の巣の子供達》(1948)とそれに続く《その後の蜂の巣の子供達》(1951),《大仏さまと子供たち》(1952)の三部作に至る,子どもを描いた数々の作品に独自の境地をひらく。また,フランク・キャプラの《或る夜の出来事》(1934)をヒントにしたといわれる《恋愛修学旅行》(1934)や,伊豆をめぐる1台のバスを舞台にした,当時としては異例のオール・ロケ撮影による《有りがたうさん》(1936)など,〈旅〉を描いた映画に秀作が多い。清水宏の〈子供もの〉〈旅もの〉は,清水が交流のあった1930年代の稲垣浩や山中貞雄が股旅もので追求した〈自然と心理を一体化して,豊かな雰囲気を醸し出す表現を現代劇で追求したもの〉といわれている。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」