世界大百科事典(旧版)内の《桃花源記》の言及
【桃源境】より
…桃源郷とも書く。晋代の陶潜の《桃花源記》にもとづく。すなわち,武陵の漁人が谷川をさかのぼり,桃花の咲き乱れる林の奥の洞穴をくぐって行くと,秦代(前3世紀)の戦乱を避けてこの山奥に移った人びとの子孫が平和に暮らしていた。…
【モモ(桃)】より
…また初期の道教経典に,天地の中央の玉京山に高さ390万億里の桃の木が生えるとあるのも,世界樹としての桃である。世界樹は宇宙の軸として現世と超越的な世界とを結ぶ機能をもつが,陶潜(淵明)〈桃花源記〉に,桃の咲き乱れる中を通って別天地(桃源郷)を訪れたとあるのも,桃が異世界との通路となるという神話的な思考を反映したものであろう。【小南 一郎】 隋代以前に中国では失われていた《如意方》という医書には,〈美色細腰にする術〉として,3樹の桃花を陰干しにして篩(ふるい)にかけ,食前に1日3回服用する処方があり,宋斉の釈僧,深(じん)は,これを酒で服用する処方を残している。…
※「《桃花源記》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」