《言葉と物》(読み)ことばともの

世界大百科事典(旧版)内の《言葉と物》の言及

【構造主義】より

…それは大きな知的反響をよびおこし,《エスプリ》誌の〈野生の思考と構造主義〉の特集(1963)をはじめ,多くの雑誌がレビ・ストロースと構造主義を論じて,〈構造主義〉の時代の幕明けとなった。このような論議の高まるなかで,フーコーが《言葉と物》(1966)を,アルチュセールが《資本論を読む》《甦るマルクス》(ともに1965)を,ラカンが《エクリ》(1966)を,R.バルトが《モードの体系》(1967)を世に問い,その他文学批評の分野でも構造分析が行われ,いずれも何らかの形で〈構造〉ないし〈システム〉を鍵概念として近代西欧の観念体系を批判吟味する新しい構造論的探求を展開した。そして〈構造主義〉は,それまでの20世紀思想の主潮流であった〈実存主義〉や〈マルクス主義〉をのりこえようとする多様な試みの共通の符牒となった。…

【古典主義】より

…それは単に溢れる力に桎梏(しつこく)をはめることによって強度が凝縮されたという以上の何物かであり,おそらくフランス古典主義における言語のあり方にかかっていると思われる。 哲学者のM.フーコーはその《言葉と物Les mots et les choses》の中で,彼が〈古典主義の時代〉と呼ぶ17~18世紀を特徴づける最も重要な選択として,分節言語が他のあらゆる表徴(シーニュ)に代わって,意味表象の自立した体系になった事を挙げている。16世紀のように分節言語と並んで森羅万象が言葉を語っていた地平とは異なり,分節言語がすべてに代わって,すべてを表すことができると考えられるようになったのだと。…

【フーコー】より

…第2の主著は《臨床医学の誕生》(1963)であり,ここで,医学のなかでももっとも具体的に生と死とのさまざまな要素が接触し交錯する臨床医学における,医学的言述(ディスクール)の掘起しと分析を行った。 しかしフーコーの名を決定的に世に広めたのは,《言葉と物――人文科学の考古学》(1966)であり,〈構造主義〉の流行のなかで,この本は〈バゲット(パン)のように売れた〉という話が語り草になっている。《言葉と物》においてフーコーは,17世紀以降の生物学,心理学,言語学,経済学での人間に関する知識を,非連続的な社会変動の所産であるとみなして,新たに〈認識系(エピステーメー)〉の考え方によって知の構造的変化のありようを示した。…

※「《言葉と物》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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