世界大百科事典(旧版)内の《集史》の言及
【オグズ・ハーン伝説】より
…トルコ民族の間に伝えられた,オグズ・ハーンOghuz Khān(オグズ・カガンOghuz Qaghan)なる人物を主人公とする伝説・説話ないし英雄叙事詩。現存する諸種のテキストの中では,14世紀初頭のラシード・アッディーンの《集史》に収められた説話と,同じ14世紀の作品と推定されているウイグル文字を用いて中期トルコ語で記された説話(《オグズ・ナーメ》とも呼ばれる)が内容的には最も詳しい。前者では,ノアの子でトルコ人の祖ヤペテの直系であるカラ・ハーンの子として生まれたオグズが,母・妻をイスラムに改宗させ,やがて異教徒である父をはじめとする一族に勝利して王権を握り,次いで日・月・星・空・山・海という名をもつ彼の6子がそれぞれ4人ずつの子をもうけ,これらの24子からオグズの24氏族が出現する過程が語られている。…
【ガーザーン・ハーン】より
…また,ラシード・アッディーンを登用して税制改革を軸とする諸改革を断行する一方,イスラムに改宗してイラン人との融和をはかり,内政の安定を実現させた。ガーザーン自ら口述してペルシア語でラシードに編纂させた《モンゴル史》はその後,ウルジャーイートゥー・ハーンの命で改変され,現在,《集史》〈モンゴル史〉の形で伝えられている。モンゴル帝国盛時のモンゴルの帝王を事実上の作者とするこの書はモンゴル帝国史研究上,屈指の貴重史料となっている。…
【ラシード・アッディーン】より
…続くウルジャーイートゥー・ハーンにも仕え,ガーザーン・ハーンの諸施策を推進したが,アブー・サイード・ハーン時代の初め,政敵の陰謀によって処刑された。ガーザーン・ハーンの口述に基づき《モンゴル史》を編纂し,さらに,ウルジャーイートゥー・ハーンの命により,《モンゴル史》を核とする一種の世界史《集史》の編纂にあたった。モンゴル帝国盛時のモンゴルの帝王の口述・指示どおり,イスラム史観に偏らず平明に記されたこれらの書はモンゴル時代史研究の貴重な史料となっている。…
※「《集史》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」