《魔女の槌》(読み)まじょのつち

世界大百科事典(旧版)内の《魔女の槌》の言及

【狂気】より

…狂気とは,字義通りに解釈すれば〈気の狂っていること〉〈気の違っている状態〉を指し,こんにちの精神病一般と変わらなくなるが,精神病が近代医学により疾患として認知された学問的概念であるのに対し,狂気は学問的に規定される以前の広義の精神変調状態を漠然と総称する世俗的概念で,厳密な定義の対象になりにくい。そもそも狂気が治療すべき自然的な疾患としてでなく,なにかしら超自然的な事態として,または正気の人間には得がたいなにかをもたらしてくれる神聖な現象として人々から迎えられたことには,多くの根拠がある。…

【シュプレンガー】より

…ドイツのドミニコ会士。ラインフェルデンに生まれ,シュトラスブルクに没した。1477‐88年までケルンのドミニコ会副修道院長をつとめたが,81年以後は異端審問官として魔女裁判に君臨,その審問記録をクレーマーHeinrich Krämer(1430ころ‐1505,別名インスティトリスH.Institoris)との共著《魔女への鉄槌》(1487)にまとめた。同書は以後17世紀にいたるまで版を重ね,とくにその第3部は中欧の魔女裁判における刑罰法典とみなされて,残酷な拷問刑罰を発生させた。…

【魔女】より

…そのためのスケープゴートとして魔女たちを血祭りにあげるいわゆる〈魔女狩りwitch hunting〉が発生した。教会側からみた魔女信仰の調査は,2人のドミニコ会士,J.シュプレンガー,H.クレーマー共著の《魔女の槌》(1486)にまとめられたが,この著作を契機に,魔女狩り,魔女裁判,魔女容疑者への拷問,火刑は15~16世紀における〈一つの産業〉(K.セリグマン)にまで膨張し,その猛威は16世紀末~17世紀初頭に頂点を迎えた。これが宗教改革の時代と重なること,魔女迫害はカトリック,プロテスタントを問わず行われたことは注目に値しよう。…

【魔女裁判】より

…このような中で,1258年,1320年と,ローマ教皇は異端審問の範囲内で魔女訴追を行うことを正当とする教書を発する。 15世紀には,従来の異端が影をひそめたのに対して,社会的不安に由来する魔女恐怖が表面化し,この事態に対応して,1486年,魔女論の古典といわれるJ.シュプレンガーとH.クレーマーによる《魔女の槌》がドイツで出版される。この著作は魔女を定義したばかりか,魔女裁判の方式を子細に述べている。…

※「《魔女の槌》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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