世界大百科事典(旧版)内のアフダースの言及
【俠客】より
…【林 亮勝】
[イスラム世界]
9世紀以後,イスラム世界の都市を中心にして活躍した任俠無頼の徒。アイヤール‘ayyār,フィトヤーン,シュッタール,あるいはアフダースaḥdāthともいう。アッバース朝中期以降のイラクやイランでは,都市の民衆の間からカリフの補助軍に加わったり,富裕な商人や高級官僚の館を襲ったりするアイヤールの集団が現れ,とくに王朝の権力が弱まった10世紀と11世紀の前半には,一定の自治組織を確立して祭礼をとりしきり,また外部勢力に対抗して街区の防衛に努めた。…
【ハーラ】より
…ハーラの規模は人口500程度から数千までとさまざまであったが,住民たちは互いに顔見知りの間柄であって,彼らは結婚の祝いや,願掛け・厄払いの行事にこぞって参列し,また聖者の生誕祭には笛や太鼓を先頭にして若者たちの行列が町中を練り歩いた。このような共同の社会生活の中から強固なハーラ意識が生まれ,相互扶助や弱者救済などの価値の担い手がアイヤール‘ayyār,アフダースaḥdāth,あるいはシュッタールと呼ばれる任俠無頼の徒(俠客)であった。その下町気質はやがて18世紀以降のイブン・アルバラド(町の子)へと継承されていく。…
※「アフダース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」