世界大百科事典(旧版)内のイエス伝承の言及
【原始キリスト教】より
…これは,主としてパウロの手紙に前提され,〈神がイエスを死人の中からよみがえらせた〉〈イエスは主である〉という信仰告白(《ローマ人への手紙》10:9)に基づき,キリストの福音を宣教(ギリシア語で〈ケリュグマkērygma〉)する目的で形成された伝承で,これには,(a)キリストの死を人間の罪のゆるしとみなし,その死と復活を旧約聖書における預言の成就として解釈するユダヤ型の伝承(《コリント人への第1の手紙》15:3~4)と,(b)キリストの死を,神とともにあった〈神の子〉の,神に対する従順のきわみとみなし,それゆえにキリストは神により〈主〉として天に挙げられたというヘレニズム型の伝承(《ピリピ人への手紙》2:6~11)に分けられる。(2)イエス伝承。これは(a)イエスの業(わざ)(主として奇跡行為)と,(b)言葉に関する伝承であり,(a)はしだいに(b)の中にとり入れられ,終末論的に解釈されていく。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」