最新 地学事典 「イオニウム法」の解説
イオニウムほう
イオニウム法
ionium method
イオニウム(Io=230Th)と親核種(234Uまたは238U)との間の放射非平衡関係を利用する年代測定法。234U-230Th法または238U-230Th法と表記することが望ましい。この年代測定法には三つの基本型がある。1)UとIoの挙動の違いを利用する方法。海水中のUが[UO2(CO3)3]4−などの可溶性錯体をつくり安定に溶存するのに対し,234Uのα壊変によって生ずるIoは懸濁物に吸着するなど短期間で海底に沈積する。そのため底質表面でIoの過剰が起こる。Io供給量に変化がないことを前提に,過剰Ioの時間経過に伴う減衰率から,堆積速度やマンガン団塊の成長速度が推定できる。2)イシサンゴが硬組織中にU同位体を取り込むが,Th同位体は取り込まないことを利用する方法。形成直後の硬組織はIo/234U=0。時間とともに234Uの壊変によって生ずるIoが蓄積していく。硬組織が閉鎖系として保存されていれば,Io/234U比から死亡年代が推定できる。3)火成岩類や蒸発残留岩類を構成する鉱物種ごとに,形成時のUおよびTh同位体が異なることを利用する方法。鉱物晶出時は,全鉱物中のIo/232Th比は一定で,238U量が鉱物種によって異なるため,[238U/232Th]─[Io/232Th]アイソクロンは勾配をもたない。固化後,各固相中で初生的なIoの減衰と234Uの壊変起原のIoの蓄積が起こるため,時間とともにアイソクロンはIo/238U=1の平衡点(equipoint)を中心として,反時計方向に回転するように勾配を増していく。したがって岩石中の3種類以上の異なった固相(鉱物種)から1本のアイソクロンが定義できれば,その岩石の固化年代が推定できる。
執筆者:大村 明雄・浜田 盛久
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

