世界大百科事典(旧版)内のイスナードの言及
【タバカート】より
…ハディース学において,世代が問題とされるのは,イスラムにおけるハディースのあり方と大きくかかわっている。すなわち,預言者ムハンマドの同世代人が預言者の言行に関する伝承ハディースを次の世代に語り継ぎ,彼らがさらに次の世代に語り継ぎ,それが記録されるときには,その本文マトンのほかに,代々ハディースを語り伝えた伝承者の名をイスナードとして記録する。そしてハディースの真偽の検討のために,世代ごとにまとめられた伝承者の伝記集が編纂されたが,このような形式の伝記集をもタバカートといい,後にはウラマー,スーフィーなどの師弟関係を基準にした世代別の伝記集もタバカートと呼ばれた。…
【ハディース】より
…法学者シャーフィイーは彼らの方法論を採り入れ,イスラムの法源(ウスール)論を確立したのである。ハディースは本文マトンmatnと,伝承の過程の記録イスナードisnādからなり,後者を欠いたものは厳密にはハディースとはみなされない。ハディースの徒が発達させたハディース批判の学は,イスナードの信憑性の吟味に終始し,そのために膨大な伝記集(タバカート)のつくられたことが,イスラム史学の一つの著しい特徴となっている。…
※「イスナード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」