世界大百科事典(旧版)内のイブセン会の言及
【新劇】より
…新俳優養成から始め,現実的漸進主義をとる文芸協会に対し,女方も含む歌舞伎俳優たちによる自由劇場は,一作当りの公演回数も観客数も少なく,演劇的であるよりも,急進的な西欧近代戯曲紹介活動の趣があった。また島崎藤村,田山花袋,正宗白鳥,秋田雨雀など,新進の自然主義志向の文士たちも小山内との関係で〈イブセン会〉をつくり,イプセン劇研究に励む一方で自由劇場を後援した。自由劇場の第1回公演はイプセン作,森鷗外訳《ジョン・ガブリエル・ボルクマン》で,ゴーリキー作《夜の宿(どん底)》などが好評をあびた。…
【竜土会】より
…川上眉山,徳田秋声,小山内薫,薄田泣菫,野口米次郎,長谷川天渓,正宗白鳥ほか,流派を超えて多彩な顔ぶれが出入りしたが,やがて自然主義系作家の懇親の場と変貌した観がある。そのため,07年,別にイブセン会という勉強の場がもたれるようになり,事実上,会の歴史は終わった。その歴史的意義は,ひとつに自然主義文学の土壌づくりにあったと言える。…
※「イブセン会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」